2019 Fiscal Year Research-status Report
EVI1発現異常に起因する血液疾患発症メカニズムにおけるMPLの重要性の解明
Project/Area Number |
18K16105
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片山 紗乙莉 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (50812278)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | EVI1 / MPL / GATA2 / 血小板 / 巨核球 |
Outline of Annual Research Achievements |
EVI1遺伝子とMPL遺伝子の異常は共に、血小板異常を伴う造血不全および骨髄系腫瘍を引き起こす。転写因子であるEVI1がMPL遺伝子の発現を制御しており、この破綻が疾患の原因となるという仮説を検証することが本研究の目的である。 この目的のために、まずEVI1過剰発現により起こる白血病の病態・発症機構について検討を行った。3q21と3q26との間の逆位によるEVI1遺伝子高発現を再現した3q21q26マウスでは、白血病発症前に多能性前駆細胞(MPP)の中でも骨髄系への分化バイアスを有するMPP3と赤芽球・巨核球系への分化バイアスを有するMPP2が増加しており、巨核球・血小板数の増加も認められた。3q21と3q26との間の逆位や転座によって、GATA2遺伝子のハプロ不全も起こることから、EVI1過剰発現とGATA2遺伝子のハプロ不全を同時に再現した3q21q26::Gata2+/-マウスについても検討したところ、3q21q26::Gata2+/-マウスは3q21q26マウスと比較してMPP3には変化がないが、MPP2が増加しており、血小板数増多を伴う白血病を発症する割合が高かった。このことから、EVI1過剰発現による白血病での血小板数増加の病態においてはGATA2遺伝子のハプロ不全も重要な役割を果たしており、EVI1とMPLだけでなくGATA2も含めて互いの制御機構について検討する必要があることがわかった。 今後は、今回白血病発症前から変化が認められたMPP2, MPP3に焦点を当ててこの細胞分画を用いて網羅的クロマチン免疫沈降解析(ChIP-sequencing解析)などを含む遺伝子発現解析を行うことにより、EVI1、MPL、GATA2の互いの制御機構、その血小板・巨核球産生制御における役割について解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
R1年度は、EVI1過剰発現白血病においてGATA2の関与も重要であり、赤芽球・巨核球への分化バイアスを有する多能性前駆細胞におけるこれらの転写因子による制御の変化を解析することが病態解明に必要であることを見出すことができた。一方で、EVI1機能欠失変異による骨髄造血不全のメカニズムを解析するためのEVI1機能欠失変異モデルマウスの作成が想定より時間を要している
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Strategy for Future Research Activity |
血小板増多を伴う白血病発症前から変化が認められたMPP2, MPP3に焦点を当てて解析を進める。この細胞分画を用いて羅的クロマチン免疫沈降解析(ChIP-sequencing解析)などを含む遺伝子発現解析を行うことにより、EVI1、MPL、GATA2の互いの制御機構、その血小板・巨核球産生制御における役割について解析を進める。また、EVI1機能欠失変異モデルマウスの準備が出来次第、解析を進める。
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Causes of Carryover |
臨床業務が多忙であり、EVI1機能欠失変異による骨髄造血不全のメカニズムを解析するためのEVI1機能欠失変異モデルマウスの作成が遅延しており実験が進まなかったため。次年度は、試薬、プラスチック製品の購入およびマウス飼育費として予算を用いる。
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