2018 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞技術とゲノム編集技術を用いたがん抗原特異的T細胞の再生
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18K16113
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永野 誠治 (永野誠治) 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 特定研究員 (90618018)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生CTL / iPS細胞 / ゲノム編集技術 / がん抗原特異的TCR遺伝子 / T細胞療法 / 免疫学 / がん / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請は、ゲノム編集技術による部位特異的なノックインおよび組み替え技術を用いて、がん抗原特異的T細胞受容体(TCR)遺伝子を導入したiPS細胞を作製し、T細胞分化誘導培養法を用いて再生させたがん特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の抗腫瘍効果を検証することを目的としていた。計画としては、1) 京都大学CiRAより提供される非T細胞由来のフィーダーフリーiPS細胞にゲノム編集技術を用いて、その内在性TCR遺伝子座に外来性のがん抗原特異的TCR遺伝子をノックインすることでTCR-KI(knock-in)-iPS細胞を作製する、2) このTCR-KI-iPS細胞からT細胞分化誘導法によって再生させたがん特異的CTLが、がんに対し殺傷能力を示すことができるかを検証する、の2点に分けられる。1)については、外来性TCR遺伝子を組み替える実験が困難であったため、その解決策の探求を行なった。その結果、組み替え実験に必要なベクターの一部を変更することで解決する見込みがたった。また、iPS細胞上での組み替えを経ず、直接にTCR遺伝子をノックインして作製したTCR-KI-iPS細胞は、既存の分化誘導法を用いることで再生CTLを作製できること、および、その再生CTLはがん細胞を殺傷する能力があることを確認できた。よって、1)2)ともにおおむね予定の中間地点までの検証は終えており、計画の方向性自体に変更はない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ノックインiPS細胞の中間体の樹立に成功はしたが、そのiPS細胞上で外来性TCR遺伝子を組み替えることが困難であったため、ベクターの再設計が必要となった。ただ、プラスミド上でNY-ESO1特異的TCR遺伝子を組み替えたものを直接iPSCへノックインしたTCR-KI-iPS細胞の樹立に成功し、これを用いて再生CTLの有効性の検証が開始できた。従来どおりの分化誘導方法でCTLの再生が可能であることや、その再生CTLはがん細胞 (NY-ESO1陽性多発性骨髄腫細胞株)に対し殺傷能力をもつことがin vitro(ディッシュ上)で確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に再設計した組み替えベクターを用いて、複数のがん抗原に対するTCR遺伝子を組み替えるベクターを各々用意し、それぞれのTCR-KI-iPS細胞を樹立する。それらを分化誘導させることで、それぞれのがん抗原特異的な再生CTLを各々用意することができる。それらを用いて、各種のがん細胞株に対して特異的に殺傷能力を示すことができるか検証を行う予定である。
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