2019 Fiscal Year Research-status Report
細胞腫瘍化を引き起こす変異型CALR蛋白質の細胞内蓄積メカニズムの解明
Project/Area Number |
18K16127
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
木原 慶彦 順天堂大学, 医学部, 博士研究員 (70812999)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 造血器腫瘍 / 骨髄増殖性腫瘍 / calreticulin |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms: MPN)は、造血幹細胞に生じた遺伝子変異により、細胞ががん化することで発症する血液のがんである。MPNの予後は概ね良好であるが、骨髄線維症を発症する患者や急性白血病に転化する患者が存在し、これらの患者の予後は極めて悪い。しかし、MPNの根治は治療関連死のリスクのある造血幹細胞移植に限られている上に、年齢や全身状態などの理由により、実際に移植適応となる患者は極めて少ない。このため、MPNの発症メカニズムの解明とそれを標的として根治を目指す治療法の開発が求められている。そこで本研究では、MPN治療戦略の構築に必要な知見を得るために、MPNを引き起こす変異型CALR蛋白質の細胞内における蓄積制御メカニズムの解明を行っている。昨年度までの解析により、多くの変異型CALR蛋白質が細胞外に分泌されていることを明らかにした。しかし変異型CALR蛋白質の発現量は、細胞外への分泌を考慮しても、野生型CALR蛋白質の発現量に比べて著しく少ないことが示された。そこで本年度は、変異型CALR蛋白質の蓄積を抑制するメカニズムの解明に取り組んだ。その結果、野生型CALR蛋白質が細胞内の小胞体に多く蓄積しているのに対し、変異型CALR蛋白質は細胞内においてゴルジ体に主に蓄積していること、さらには変異型CALR蛋白質が細胞外に分泌された後、速やかに分解されることを見出した。さらに、この分解を司ると考えられるプロテアーゼに対する阻害剤を培地中に添加したところ、培地中に分泌される変異型CALR蛋白質の量が見かけ上増加した。今後は、変異型CALR蛋白質の細胞外における分解と、MPN発症の関連について解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに、変異型CALR蛋白質の細胞内蓄積を制御するメカニズムとして、細胞外への分泌経路が関与することを示し、分泌された蛋白質が速やかに分解されていることを明らかにした。本研究成果の論文化を行っていることから、研究は当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、変異型CALR蛋白質の細胞外における分解と、MPN発症の関連について解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
変異型CALR蛋白質の分解を見出したことから、研究計画を変更し、当初予定していた患者細胞における蓄積制御機構の解析を次年度に先送りしたため、未使用額が発生した。未使用額は、次年度に行う患者細胞における蓄積制御機構の解析に使用する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Mutant calreticulin interacts with MPL in the secretion pathway for activation on the cell surface2020
Author(s)
Masubuchi Nami, Araki Marito, Yang Yinjie, Hayashi Erina, Imai Misa, Edahiro Yoko, Hironaka Yumi, Mizukami Yoshihisa, Kihara Yoshihiko, Takei Hiraku, Nudejima Mai, Koike Masato, Ohsaka Akimichi, Komatsu Norio
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Journal Title
Leukemia
Volume: 34
Pages: 499-509
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Hlf marks the developmental pathway for hematopoietic stem cells but not for erythroid-myeloid progenitors2019
Author(s)
Yokomizo Tomomasa, Watanabe Naoki, Umemoto Terumasa, Matsuo Junichi, Harai Ryota, Kihara Yoshihiko, Nakamura Eri, Tada Norihiro, Sato Tomohiko, Takaku Tomoiku, Shimono Akihiko, Takizawa Hitoshi, Nakagata Naomi, Mori Seiichi, Kurokawa Mineo, Daniel G. Tenen, Osato Motomi, Suda Toshio, Komatsu Norio
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Journal Title
Journal of Experimental Medicine
Volume: 216
Pages: 1599-1614
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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