2018 Fiscal Year Research-status Report
本邦の血液疾患におけるKIR genotypeの意義の検討
Project/Area Number |
18K16129
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
田中 紀奈 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90621475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | KIR genotype / HLA / Natural Killer 細胞 / MTX-LPD / MDS |
Outline of Annual Research Achievements |
Natural Killer (NK)細胞は抗腫瘍免疫を担うが、その機能調節には多様な分子が関与する。その中で重要な役割を果たすKiller immunoglobulin-like receptor (KIR)とHLAは、遺伝学的多型に基づいた機能の多様性があることが知られている。さらに、それぞれの多型の組み合わせにもとづきシグナル伝達の強度に差が生じ、各種癌の治療効果や予後と関連することが報告されている。一方、KIR genotypeが各血液腫瘍の治療効果や予後に及ぼす影響については一定の結論には至っていない。 また、人種差が想定される中で、日本人に関するデータは極めて少ない。本研究では①B細胞性リンパ腫、②多発性骨髄腫、③Methotrexate-associated lymphoproliferative disorders (MTX-LPD)、④骨髄異形成症候群(MDS) においてKIR genotype とHLAの組み合わせを解析し、治療効果や生存との関連を解明し、最適な治療法選択のための手がかりとなるかを明らかにしようとしている。 2018年度は④の骨髄異形成症候群の検体保存症例についてDNAを抽出しKIR genotypeの解析を済ませている。特に正常核型の症例を集めてKIR genotypeのパターンとその臨床経過の関連を解析・考察した結果を2019年6月の欧州血液学会(EHA)に演題提出しており、報告予定である。 また、③MTX-LPDについて順次、該当患者から同意を得ており、現時点までに30例を超える患者のDNAを保存しKIR genotypeの解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな患者のリクルートについては外来患者が中心となるため通院期間の関係である程度の時間を要しているが、説明のできた患者からはいずれも同意が得られておりおおむね順調に症例の集積と解析が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
MTX-LPDの症例については今後HLA解析の結果を加えて、学会報告を予定している。 MDS、MTX-LPDいずれも学会報告後の論文発表を予定している。 2019年度は上記のまとめと共に①B細胞性リンパ腫と②多発性骨髄腫の症例についても新たな患者のリクルート・解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度は患者のリクルートとKIR genotype解析を中心におこなっており、高額を要するHLA解析を2019年度にまとめて行う方針としたため、次年度に繰越が生じた。
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