2018 Fiscal Year Research-status Report
乳癌PDXモデルを活用した循環腫瘍DNAに関するリバーストランスレーショナル研究
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18K16132
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
林 光博 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 研究員 (50735628)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Breast cancer / Liquid biopsy / PDX / Circulating tumor DNA / Translational research |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍の治療抵抗性を克服すべく、低侵襲かつ病態同時的にBiomarkerを評価可能なLiquid Biopsyが積極的に研究されている。その中でも腫瘍由来循環DNA(circulating tumor DNA: ctDNA)は腫瘍に直接的に起因するものとして、腫瘍組織DNAを用いたがんゲノム医療が進む中で、その有用性が期待されている。 まず血漿および組織のペア解析が可能な乳癌バイオバンク検体を用いて、それぞれよりDNAを抽出し、次世代シークエンスパネル(NGS)解析を行った。52個のがん関連遺伝子パネルを用いてctDNA遺伝子変異解析を行うと、全体で45%に何らかの遺伝子変異が検出され、進行例の方がctDNAでの遺伝子変異検出率は高い結果であった。これら遺伝子変異のうち、乳癌ホットスポット変異と考えられるものに対して、droplet digital PCRを用いた測定系を作成した。引き続きctDNAを用いた遺伝子変異解析と臨床病理学的因子、腫瘍組織DNAを用いた遺伝子変異解析との相関解析を進めていく。 また近年、がんの非臨床モデルは細胞株を用いたゼノグラフトモデルと共に、患者腫瘍を直接用いる患者組織移植モデル(Patient-derived xenograft: PDX)の重要性が高まっている。まず数種類の乳癌PDXモデルを樹立し、腫瘍が一定サイズに達した段階で血漿を採取、DNAを抽出し評価を行った。その結果、ヒト腫瘍由来のctDNAが一定量血漿中に検出され、腫瘍組織DNAを用いた遺伝子変異解析結果と同様の遺伝子変異が乳癌PDXモデル由来ctDNAにおいても検出できることが確認された。今後は乳癌PDXモデルに対する薬効試験を行い、ctDNAのダイナミクスを解析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオバンク試料を用いた乳癌腫瘍組織DNAとctDNAにおける遺伝子変異解析が順調に進んでいる。また乳癌PDXを用いてこれらの遺伝子変異が非臨床モデルにおいても評価可能であることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き臨床と非臨床モデルの両方を用いた実験計画を進め、ctDNAに関する臨床的疑問点を解決すべく検討を進める。
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