2019 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌PDXモデルを活用した循環腫瘍DNAに関するリバーストランスレーショナル研究
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18K16132
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
林 光博 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 研究員 (50735628)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Breast cancer / Liquid biopsy / PDX / Circulating tumor DNA / Translational research |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床解析として血漿および組織のペア解析が可能な乳癌69例を、NGSにて52個の網羅的がん関連遺伝子解析を行なった(Oncomine Pan-Cancer Cell-Free Assay)。全体で45%に何らかの変異ctDNAが検出され、進行例の方が変異検出率は高く、Luminal乳癌で40%、HER2乳癌で67%、Triple Negative乳癌で100%の検出率であり、活性型変異ではTP53、PIK3CA、MAP2K1、AKT1が多かった。何らかの変異ctDNAが検出された例では無病生存期間が短い結果であった(P=0.01)。 ctDNAが臨床乳癌の進行度、治療応答・生命予後に関わる可能性が示唆されたため、次にリバーストランスレーショナル研究として、腫瘍移植ゼノグラフトモデルを用いた解析を行なった。 近年既存細胞株ではなく、患者腫瘍を直接的に免疫不全モデルに移植して樹立するする患者組織移植モデル(Patient-derived xenograft: PDX)の重要性が高まっており、様々なサブタイプを含む乳癌PDXを24株樹立、NCCオンコパネル解析を行なって、患者腫瘍組織と同じ遺伝子変異がPDX腫瘍組織においても検出されることを確認した。次にPDX腫瘍組織が一定サイズに達した段階でPDXモデル血漿を採取、ctDNA解析を行った。 PDX腫瘍組織で検出された遺伝子変異はPDXモデル血漿中にも検出され、ctDNA臨床病態の再現がPDXモデルにて可能であることを見出した。またPDXモデルに対する抗癌薬投与試験にて、腫瘍が有意に縮小する薬剤においては変異ctDNAも有意に減少し、変異ctDNAの評価が治療応答マーカーになることが明らかとなった。 これらの検討により、乳癌PDXモデルを用いることでctDNAに関するclinical questionを科学的に検証できる可能性が示された。
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