2018 Fiscal Year Research-status Report
research for antigen of IgG4 related disease
Project/Area Number |
18K16149
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
塩川 雅広 神戸大学, 医学研究科, 特別研究員(PD) (50737880)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己抗原 / 自己抗体 / 自己免疫性膵炎 / IgG4関連疾患 / IgG4 |
Outline of Annual Research Achievements |
①ラミニン511抗体陰性AIP例における自己抗原の同定 申請者は、ラミニン511結合タンパクであるインテグリンα6β1に、一部のAIP患者(ラミニン511自己抗体陰性例25例中4例)が自己抗体を有していることを発見した。また、興味深いことに、すべてのインテグリンα6β1自己抗体陽性例は、膵尾部の中央に病変を認め、画像所見が全例で酷似していた。更に、インテグリンα6β1自己抗体陽性4例中、2例で悪性腫瘍(胃癌と肺癌)の合併を認めた。更に、同腫瘍の免疫染色では、インテグリンα6β1の発現を認め悪性腫瘍がAIPを起こしているparaneoplastic syndromeの可能性が考えられた。 ②AIP以外のIgG4関連疾患における自己抗原の同定 一部のIgG4関連腎疾患患者では、ラミニン521に対する自己抗体を認め、IgG4関連腎疾患の自己抗原の可能性が考えられた。症例数を増やして検討予定である。 ③同定自己抗原のマウスへの免疫による病変誘導の確認 インテグリンα6β1をマウスに免疫すると、明らかに膵臓の腺房の萎縮を認めた。しかし、AIPに合致する細胞浸潤、線維化は認めなかった。条件を検討している。 ④自己抗体測定によるIgG4関連疾患の診断・病型分類・治療効果判定における有用性を検討、および新たな診療体系の確立 インテグリンα6β1自己抗体は、paraneoplastic syndromeのマーカーとして、期待が持てる。更なる症例数を増やした解析を予定している。また、ラミニン521自己抗体も、IgG4関連腎疾患のマーカーとして可能性を持つが、こちらも症例数を増やして解析する必要がある。しかし、唾液腺病変である、ミクリッツ病、AIPの残りの4割の自己抗原もまだ不明である。更なる自己抗原の同定を進めることによって、臨床で使用できる診療体系の構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①ラミニン511抗体陰性AIP例における自己抗原の同定 新たに、インテグリンα6β1自己抗体を発見したのは、大きな成果である。しかし、AIPの残り4割の自己抗原が不明である。更に、自己抗原の同定をしていく。 ②AIP以外のIgG4関連疾患における自己抗原の同定 IgG4関連腎疾の自己抗原候補として、ラミニン521自己抗体を発見したことは大きな成果である。しかし、IgG4関連疾患のなかで、AIPと同じぐらい発症頻度の高い、ミクリッツ病の自己抗原の同定には至っていない。 ③同定自己抗原のマウスへの免疫による病変誘導の確認 インテグリンα6β1をマウスに免疫すると、明らかに膵臓の腺房の萎縮を認めた。しかし、AIPに合致する細胞浸潤、線維化は認めなかった。 ④自己抗体測定によるIgG4関連疾患の診断・病型分類・治療効果判定における有用性を検討、および新たな診療体系の確立 インテグリンα6β1自己抗体、ラミニン521自己抗体を発見したことは、大きな進歩である。しかし、IgG4関連疾患全体で見た場合、いまだ半数の患者さんの自己抗原は不明である。これらの患者さんの自己抗原を同定できれば、より洗練され、臨床に応用できる診療体系となる。
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Strategy for Future Research Activity |
①ラミニン511抗体陰性AIP例における自己抗原の同定 更に、ラミニン関連の蛋白を中心に、自己抗原の同定をしていく。ラミニンは、細胞外の酵素によって、様々な形をとる。それによって抗原性が変化するのではないかと考えており、膵臓の酵素によってラミニンを切断し、抗原性を有するものを同定していく。また、ラミニン511とインテグリンα6β1の結合タンパクに対し、抗原性を有していないかも検討していく。また、ラミニン511に結合するタンパクはインテグリンα6β1にも存在するため、それらに対しても検討していく。 ②AIP以外のIgG4関連疾患における自己抗原の同定 ①と同様に、唾液腺、腎臓の酵素によってラミニンを切断し、抗原性を有しないか、ミクリッツ病、IgG4関連疾患の自己抗原を同定していく。同様にラミニン結合タンパクに対しても、抗原がないか、検討していく。 ③同定自己抗原のマウスへの免疫による病変誘導の確認 マウスの種類、抗原量、アジュバントの種類を変え、インテグリンα6β1を免疫し、AIPに合致する病変を誘導できるか検証する。 ④自己抗体測定によるIgG4関連疾患の診断・病型分類・治療効果判定における有用性を検討、および新たな診療体系の確立 ①②によって、更に自己抗原の同定を行い、実用化可能な診療体系を構築していく。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Laminin 511 is a Target Antigen in Autoimmune Pancreatitis.2018
Author(s)
Shiokawa M, Kodama Y, Sekiguchi K, Kuwada T, Tomono T, Kuriyama K, Yamazaki H, Morita T, Marui S, Sogabe Y, Kakiuchi N, Matsumori T, Mima A, Nishikawa Y, Ueda T, Tsuda M, Yamauchi Y, Sakuma Y, Maruno T, Uza N, Tsuruyama T, Mimori T, Seno H, Chiba T.
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Journal Title
Sci Transl Med.
Volume: 10
Pages: pii: eaaq0997
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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