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2018 Fiscal Year Research-status Report

SLEに対する抗炎症性脂質メディエーターOEA、PEAの機能解明と有用性の検討

Research Project

Project/Area Number 18K16155
Research InstitutionOita University

Principal Investigator

尾崎 貴士  大分大学, 医学部, 病院特任助教 (70749374)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsパルミトイルエタノールアミド / 脂質メディエーター / Toll様受容体9 / SLE
Outline of Annual Research Achievements

2015年度~2017年度 若手研究(B)「膠原病様モデルマウスを用いたT細胞活性化をもたらす新規脂質メディエータの同定」において、SLEモデルマウスではパルミトイルエタノールアミド(PEA)及びオレオイルエタノールアミド(OEA)の濃度が野生型マウスに比べて血中及び脾臓内で低値となっていることを見出した。さらに、PEA及びOEAは、SLEの病態形成機序に関わっているToll様受容体9(TLR9)刺激による炎症性サイトカイン産生をタンパク質レベルで抑制することを、in vitro(骨髄由来樹状細胞、脾臓B細胞、マクロファージ細胞株(Raw 264.7細胞))とin vivo実験において見出した。
そこで、本年度はPEA及びOEAの炎症抑制機能の解明を進めることを目的とした。PEAとOEAのTLR9刺激に対する抗炎症作用は、in vitroとin vivoのいずれにもおいても、PEAのほうがOEAに比べて顕著であった。そこで、研究のターゲットをPEAに絞って研究を進めることとした。まず、炎症性サイトカイン産生の抑制機序を追求した。骨髄由来樹状細胞、脾臓B細胞、Raw 264.7細胞において、PEAはTLR9刺激によるIL-6mRNA発現を抑制していることを見出した。骨髄由来樹状細胞では、IL-12とIL-23のmRNA発現も抑制されていた。このことより、PEAによる炎症性サイトカイン産生の抑制は、転写あるいは細胞内シグナル伝達レベルにおいて作用している可能性が示唆された。また、前年度までの研究において、PEAは骨髄樹状細胞においてTLR9刺激によるCD86発現を抑制することが判明したが、本年度新たにCD40とMHC ClassIIの発現も抑制することを見出した。また、PEAによるCD86とCD40の発現抑制作用は、B細胞においてもみられることも見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度はPEA及びOEAの炎症抑制機能の解明を進めることを目的とした。PEAはOEAよりもTLR9刺激による骨髄由来樹状細胞からのIL-6, IL-12, IL-23の産生を強く抑制した。また、CpG-ODNとD-ガラクトサミン投与によるマウス生体内のIL-6産生においも、PEAはOEAよりも強く抑制した。そこで、研究のターゲットをPEAに絞って研究を進めることとした。
まず、炎症性サイトカイン産生の抑制機序を追求した。骨髄由来樹状細胞、脾臓B細胞、Raw 264.7細胞において、PEAはTLR9刺激によるIL-6の発現をmRNAレベルで抑制していた。骨髄由来樹状細胞では、IL-12とIL-23のmRNA発現も抑制していた。このことより、PEAによる炎症性サイトカイン産生の抑制は、転写あるいは細胞内シグナル伝達レベルにおいて作用している可能性が示唆された。また、FACS解析により、PEAは骨髄樹状細胞においてTLR9刺激によるCD40とMHC ClassIIの発現を抑制することを見出した。また、B細胞においても、PEAはCD86とCD40の発現を抑制することが明らかになった。

Strategy for Future Research Activity

今後、PEAによる炎症性サイトカイン産生抑制のさらなる詳細な分子メカニズムの解明が必要である。例えば、PEAがTLR9シグナルを抑制するか検証するため、細胞内シグナル伝達分子(JNK, ERK, p38, IκBなど)の活性化レベルをウエスタンブロット法で解析する。また、PEAがTLR9刺激による形質細胞様樹状細胞からのIFN-α産生を抑制するか検証する。また、PEAがTLR刺激によるB細胞の免疫グロブリン産生を抑制するかどうかについても検討する。さらに、B細胞の増殖抑制への影響も解析を行う。また、個体レベルの解析では、PEAがMRL/lprマウスの腎炎を抑制するか検討する。以上の解析を進め、SLEの病態形成機序と関連する炎症や自己免疫反応におけるPEAの新たな役割を明らかにする。
さらに、SLE患者血清中のPEA濃度をLC-MSを用いて測定し、健常者と比べて違いがあるか検討する。SLEモデルマウス同様にPEA濃度に違いがあれば、SLEの疾患バイオマーカーとして利用できるか検討する。

Causes of Carryover

本年度の研究の一部は、前年度までの研究課題の延長として取り組んだ実験系が多く、実験工程が比較的スムーズに進行した結果、消耗品の発注が想定より少なく済んだことが一因と考えられる。
次年度使用額は主として消耗品として使用予定である。

  • Research Products

    (9 results)

All 2019 2018

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 2 results) Presentation (6 results)

  • [Journal Article] Dysbiosis of the Gut Microbiota on the Inflammatory Background due to Lack of Suppressor of Cytokine Signalling-1 in Mice2019

    • Author(s)
      Gendo Y, Matsumoto T, Kamiyama N, Saechue B, Fukuda C, Dewayani A, Hidano S, Noguchi K, Sonoda A, Ozaki T, Sachi N, Hirose H, Ozaka S, Eshita Y, Mizukami K, Okimoto T, Kodama M, Yoshimatsu T, Nishida H, Daa T, Yamaoka Y, Murakami K, Kobayashi T
    • Journal Title

      Inflamm Intest Dis

      Volume: 3 Pages: 145-154

    • DOI

      10.1159/000495462

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Oral administration of antibiotics results in fecal occult bleeding due to metabolic disorders and defective proliferation of the gut epithelial cell in mice.2018

    • Author(s)
      Sonoda A, Kamiyama N, Ozaka S, Gendo Y, Ozaki T, Hirose H, Noguchi K, Saechue B, Sachi N, Sakai K, Mizukami K, Hidano S, Murakami K, Kobayashi T
    • Journal Title

      Genes Cells

      Volume: 23 Pages: 1043-1055

    • DOI

      10.1111/gtc.12649

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Autoimmune sialadenitis is associated with the upregulation of chemokine/chemokine receptor pairs in T cell-specific TRAF6-deficient mice2018

    • Author(s)
      Noguchi K, Kamiyama N, Hidano S, Gendo Y, Sonoda A, Ozaki T, Hirose H, Sachi N, Saechue B, Ozaka S, Eshita Y, Mizukami K, Kawano K, Kobayashi T
    • Journal Title

      Biochem Biophys Res Commun

      Volume: 504 Pages: 245-250

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2018.08.162

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Development of a rapid and simple reverse transcription loop-mediated isothermal amplification for Chikungunya virus2018

    • Author(s)
      Benjawan Saechue, Naganori Kamiyama, Shinya Hidano, Kaori Noguchi, Yoshiko Gendo, Takashi Ozaki,  Akira Sonoda, Haruna Hirise, Nozomi Sachi, Sotaro Ozaka, Takashi Kobayashi
    • Organizer
      41回日本分子生物学会年会
  • [Presentation] アフリカ株とアジア株SRIPsを用いた、ジカウイルスの宿主細胞侵入効率の解析2018

    • Author(s)
      神山長慶, 渡辺 景, Benjawan Saechue, 飛彈野真也, 野口香緒里, 玄同淑子, 尾崎貴士, 園田光, 広瀬 晴奈, 小坂 聡太郎, 佐知望美, 鈴木 亮介, 小林隆志
    • Organizer
      41回日本分子生物学会年会
  • [Presentation] 可溶性インターロイキン2受容体の全身性エリテマトーデスにおけるバイオマーカーとしての有用性の検討2018

    • Author(s)
      大村雄一、前島圭佑、梅木達仁、清永恭弘、鳥越雅隆、今田千晴、尾崎貴士、堀田美鈴、安倍いとみ、熊木美登里、石井宏治、柴田洋孝
    • Organizer
      第62回日本リウマチ学会総会・学術集会
  • [Presentation] 急速に進行する皮膚硬化を呈した全身性強皮症に対し,トシリズマブ(TCZ)が著効したと考えられる一例2018

    • Author(s)
      今田千晴、梅木達仁、大村雄一、鳥越雅隆、尾崎貴士、前島圭佑、石井宏治、柴田洋孝
    • Organizer
      第62回日本リウマチ学会総会・学術集会
  • [Presentation] 不明熱を呈した抗PL-12抗体陽性抗ARS抗体症候群の1例2018

    • Author(s)
      福田春菜、梅木達仁、大村雄一、鳥越雅隆、尾崎貴士、今田千晴、前島圭佑、加島尋、堀之内登、宮崎英士、石井宏治、柴田洋孝
    • Organizer
      第322回 日本内科学会九州地方会
  • [Presentation] トシリズマブが有効であった蛋白漏出性胃腸症合併全身性エリテマトーデスの一症例2018

    • Author(s)
      児玉尚吾、今田千晴、前島圭佑、梅木達仁、大村雄一、鳥越雅隆、尾崎貴士、石井宏治、柴田洋孝
    • Organizer
      第56回九州リウマチ

URL: 

Published: 2019-12-27  

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