2018 Fiscal Year Research-status Report
全身性エリテマトーデスの光線過敏の発生機序に関わる制御性T細胞の機能解明
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18K16158
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
渡辺 舞子 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (20791867)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | SLE / 光線過敏 / 制御性T細胞 / 紫外線 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、光線の中でも紫外線の照射により、制御性T細胞が皮膚のCD4+T細胞の約60%にも増えることを見出した。制御性T細胞は末梢CD4T細胞の約5-10%をしめ、自己免疫疾患など様々な免疫反応を抑制している。本研究では、紫外線が制御性T細胞を増殖誘導することに着目し、SLEの光線過敏における制御性T細胞の果たす役割について解明する。SLEの光線過敏は、皮膚症状だけでなく全身的な疾患活動性も増悪させ、QOLおよび予後に関わる重要な症状である。SLE患者は若い女性が多く、日光曝露の機会も多い。SLEは、関節リウマチを除く自己免疫疾患で最も頻度が高いが、発症機序を含め、特に光線過敏においては十分な研究がなされていない。本年度は、マウスモデルを用いて、紫外線によるダメージがSLEの場合、どのように免疫制御を行う制御性T細胞に影響を与えるか、条件検討を行うことができた。今後も研究を継続し、将来、SLEの新しい予防方法、治療法に貢献を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SLEの光線過敏は、皮膚症状だけでなく全身的な疾患活動性も増悪させ、QOLおよび予後に関わる重要な症状であるが、発症機序を含め、特に光線過敏においては十分な研究がなされていない。私たちの研究室では、Foxp3+制御性T細胞のホメオスタシスが光線、つまり、紫外線によりコントロールされていることを明らかにした(J Immmunol 2014)。今年度はマウスモデルを用いて、紫外線によるダメージがSLEの場合、どのように免疫制御を行う制御性T細胞に影響を与えるか、FACS解析を中心に条件検討を行った。当研究室の研究チームに参加して、紫外線をあてた皮膚で重要な樹状細胞サブセットの同定の論文にもチームの一員として貢献することができた(J Immmunol 2018)。
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Strategy for Future Research Activity |
SLEの治療はステロイド、免疫抑制剤が中心であるが、長期間の治療は重篤な感染症のリスクが高くなる。また、SLE患者は妊娠可能な若い女性が多いが、疾患活動性や治療薬により妊娠が難しくなり、また妊娠により症状が悪化する。SLE患者の病勢や治療薬による妊娠・出産のリスク、胎児への影響を減らすためにも、新しい治療の開発や発症の予防法の発見が急務である。今後もマウスモデルによる解析を、RNA seqなどの遺伝子発現解析を中心に行い、重要な分子メカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
今年度は学会参加を見送ったため、旅費を使用しなかったため、その分を繰り越し、来年度に学会参加を行う計画とした。消耗品はFACS用抗体などが10万円/本など効果であるが、免疫学教室にそろっていた抗体を使用することができたため、今年度は購入しないですんだ。来年度以降にこれまでに解析を行っていない分子をFACSで検出する際に新規に購入する予定である。
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