2019 Fiscal Year Research-status Report
出生コホート研究による屋内塵埃中食物抗原の曝露と食物アレルギー発症機構の解明
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18K16166
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
福家 辰樹 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, アレルギーセンター, 医長 (10535842)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アレルゲン / 環境 / 感作 / 出生コホート / 食物アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、屋内塵埃中の食物抗原は濃度依存性に、離乳食開始前の乳児における食物抗原感作成立に影響を与えるか検証することを主要な目的とし、現在国立成育医療研究センターアレルギーセンターで実施されている出生コホート研究(「アレルギー疾患におけるハイリスク乳児の追跡およびアウトカム評価」)の参加者のうち、本研究の同意を得られた者を対象とした、出生コホート内観察研究である。この出生コホート研究では妊娠中期にリクルートを行い、アンケート調査、医師診察によるアトピー性皮膚炎診断に加え、生後6か月時に血液検査によるアレルゲン特異的IgE測定を実施する。本研究では、コホート登録者を対象とし、生後6か月時点における屋内塵埃サンプルを採取のうえ、塵埃中の食物抗原量を曝露要因とした、参加者の感作状況および食物アレルギー発症の有無について関連性を検証する。 初年度には、環境塵埃中アレルゲン測定系確立のため、乳幼児のいる家庭の塵埃サンプル50検体の解析によるパイロット研究を行った。複数抗原濃度測定の検討や、希釈倍率変更や高感度測定によるSDSの影響を抑える方法など、試行錯誤を行いサンプル測定方法を決定した。併せて乳児における食物アレルゲンが付着する測定部位を検討し、環境塵埃サンプル採取キットの配布月齢、採取月齢、回収時期などロジスティクスを確定し、国立成育医療研究センター倫理審査委員会に申請の上、今年度6月に承認を受けた(受付番号: 2204)。 今年度には、研究期間中目標参加者数を累計100名のところ出生コホート登録者は70名となっており、概ね順調なリクルートが進んでいるといえる。年度末に発生した新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、アレルゲン濃度測定解析施設などの状況を勘案し念のため送付を見合わせているが、サンプルは引き続き当センターで保管中であり、今後順次測定を開始していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の様に2019年度に予定した研究項目について、おおむね順調に進展している。 1) ロジスティクス構築後の研究計画作成および倫理審査:2018年度に行われたパイロット研究結果、つまり環境抗原中アレルゲン測定方法や、乳児のいる家庭に対する適切なサンプル採取法の検討などを踏まえ、ロジスティクスを構築し研究パンフレットおよび動画説明(YouTube)等を作成の上、研究計画書ならびに倫理審査申請書を国立成育医療研究センター倫理審査委員会に申請し、2019年6月に承認を受けた(受付番号: 2204)。 2) 参加者数:研究期間中の目標参加者数を累計100名としている。本研究は当科ですでに実施中のハイリスク出生コホートの参加者を対象としている。2019年度中に登録者がすでに70名となっており、おおむね順調にリクルートが進んでいるといえる。 3) 塵埃サンプルのアレルゲン測定:当該研究では、現在登録中の参加者(乳児または妊婦)において生後6か月となる時点においてサンプル回収が行われる。得られたサンプル数がまとまったところで順次測定を実施する予定であったが、年度末に発生した新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、アレルゲン濃度測定解析施設などの状況を勘案し念のため送付を見合わせている。サンプルは引き続き当センターで保管中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究推進方策としては、引き続き参加者登録数を増やし、得られたサンプルの測定を実施する予定である。現在登録されている乳児(妊婦)が生後6か月となる時点においてサンプル回収が開始される。新型コロナウイルス感染症拡大の影響が減少し、研究所運営が再開されれば順次サンプルを委託施設へ送付し測定を行う。測定は2018年度に得られた知見を元に実施する。目標検体数の半分程度測定の時点で中間解析を行う。解析では、当センターの生物統計家と協議し因果推論を行う。交絡因子として乳児湿疹、経口摂取既往の有無などを調整に用いることを検討する。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ハイリスク出生コホート研究のvisit受診、ならびに新規リクルートが一時中断され、当該研究においてもサンプルの欠損や今後の登録数に影響が生じると考えられている。中間解析で条件付検出力を計算し追加症例数の再設定を行う場合があり、追加が必要とされた場合は、当センターでの一般出生時および初診アレルギー疾患のある6か月以内の乳児を対象として対象者を広げることなどを検討したい。
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Causes of Carryover |
本年度の主な使用額の内訳は塵埃サンプルのアレルゲン濃度測定費用であった。参加者より得られた塵埃サンプルはまとまった数となり次第、委託測定解析施設に送付予定であったが、今年度末より発生した新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより、サンプルを当センター内に引き続き保管している。 次年度使用額として 1,216,702円を繰り越しており、次年度実施される抗原測定に充てられる予定である。
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[Journal Article] 経口免疫療法中に異食症により発見された好酸球性胃腸炎の1例2020
Author(s)
西村 幸士, 福家 辰樹, 宮地 裕美子, 犬塚 祐介, 豊国 賢治, 苛原 誠, 石川 史, 佐藤 未織, 齋藤 麻耶子, 山本 貴和子, 成田 雅美, 野村 伊知郎, 大矢 幸弘
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Journal Title
アレルギー
Volume: 69
Pages: 123, 128
Peer Reviewed
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[Presentation] Effect of the specific IgE level on the eliciting dose in patients with cow’s milk allergy evaluated by a positive oral food challenge.2019
Author(s)
Fukuie T, Miyaji Y, Inuzuka Y, Toyokuni K, Nishimura K, Ishikawa F, Irahara M, Sato S, Saito-Abe M, Yamamoto-Hanada K, Narita M, Matsumoto K, Ohya Y, and Saito H.
Organizer
EAACI 2019 Congress. Lisbon, Portugal. 2019.6.4
Int'l Joint Research
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[Presentation] Shorter time interval during oral food challenge may overlook the real threshold dose.2019
Author(s)
Fukuie T, Miyaji Y, Ishikawa F, Irahara M, Iwama M, Sato S, Saito M, Inagaki S, Yamamoto-Hanada K, Narita M, Matsumoto K, Ohya Y, and Saito H.
Organizer
American Academy of Allergy and Immunology Annual Meeting, 2019, San Francisco, USA, 2019.2.24.
Int'l Joint Research
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