2019 Fiscal Year Research-status Report
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌の施設内および施設間伝播様式の解明と環境感染制御
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18K16169
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
金森 肇 東北大学, 医学系研究科, 講師 (70625318)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | カルバペネム耐性菌 / 全ゲノム解析 / 環境感染制御 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
CREによる医療関連感染や集団感染事例が世界中で報告されている。近年、日本においてもカルバペネム耐性菌などの高度薬剤耐性菌の海外からの輸入例が相次いで報告されている。本研究では、全ゲノム解析による医療機関におけるCREおよびカルバペネマーゼ遺伝子の伝播メカニズムを解明するとともに、カルバペネム耐性菌の感染伝播における医療環境の役割を明らかにし、環境感染制御策を確立することを目的とした。
大学病院Aにおける2010年1月から2018年12月までの9年間で同定されたカルバペネマーゼ遺伝子は、blaNDM-4の輸入症例からのものを除いてblaIMP-1であった。blaIMP-1保有腸内細菌科細菌の伝播は、主にE. cloacae ST730およびST252、ならびにK. pneumoniae ST17およびST1615によって維持され、複数の耐性遺伝子を保有していた。blaIMP-1保有菌のうち大半でIncHI2とIncHI2Aが検出された。長期間の病院内のCREゲノム解析により、blaIMP-1保有菌のクローンおよびプラスミドを介したカルバペネマーゼ遺伝子の菌種内および菌種間の伝達が示唆された。
カルバペネム耐性を含むMDRPによる輸入感染症の症例（東南アジアで脳外科手術の既往あり）に対して病室の環境汚染状況を評価し、高度薬剤耐性菌の院内拡散防止のため紫外線（UV-C）照射による環境浄化を行った。MDRPは床頭台、シンク及び自動尿測定装置から検出され、UV-C照射後は床頭台、シンクからは検出されなかった。MDRPの全ゲノム解析では、患者由来とベッド柵由来のから検出されたMDRPはST2613に分類され、本邦では報告の少ないblaIMP-26型などのカルバペネマーゼ遺伝子を保有していた。病室の高頻度接触面の薬剤耐性菌汚染に対する清掃後のUV-C照射の有効性が示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学病院A、地域の検査センター、民間の検査センターにおいて菌株収集を行っているが、対象とするカルバペネム耐性菌の菌株がまだ十分ではない。2019年1月～12月において、大学病院AのCRE 感染症および保菌の患者から検出されたCRE 36株（Enterobacter aerogenes 24株、Enterobacter cloacae 11株、Klebsiella pneumoniae 1株）を対象としたが、カルバペネマーゼ産生腸内科細菌科細菌はE. cloacae 1株であり、blaIMP-1を保有していた。また、環境調査を実施した事例がまだ少ない。これまで収集した臨床および環境由来のカルバペネム耐性菌株のゲノム解析を行っているが、バイオインフォマティクスによる解析方法の確立に時間を要しているため、研究計画がやや遅れている。
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| Strategy for Future Research Activity |
引き続き、菌株収集、薬剤感受性試験、PCR法による耐性遺伝子の検出、全ゲノム解析、環境調査を行う。全国規模の民間の検査センターにおいてカルバペネム耐性菌の臨床分離株を収集するとともに、環境由来のカルバペネム耐性菌株の収集も行う。カルバペネマーゼ遺伝子の特徴と伝播における可動性因子の役割を解明する。臨床および環境由来のカルバペネム耐性菌の分子系統解析を行い、国内外におけるカルバペネム耐性菌株の遺伝的関連性について比較検討を行う。カルバペネム耐性菌におけるカルバペネム耐性の地域特性や流行クローンの伝播状況をゲノム疫学の観点から明らかにする。また、カルバペネム耐性菌が検出された病室において環境調査を行い、医療環境浄化技術の介入効果を検証する。
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| Causes of Carryover |
令和元年度の菌株収集や環境調査がやや遅れたため、予定していた実験や解析を実施できなった。令和元年度に予定していた菌株収集、薬剤感受性試験、PCR法、全ゲノム解析、環境調査、医療環境浄化技術の検証を行うために必要な経費として、次年度請求額とあわせて使用する計画である。
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Research Products
(2 results)
