2018 Fiscal Year Research-status Report
レプトスピラが宿主の脂肪組織血管内に定着する分子機構の解明
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18K16174
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
尾鶴 亮 鳥取大学, 医学部, 助教 (70763035)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レプトスピラ症 / 脂肪組織 / 鞭毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、レプトスピラが経皮感染する際に重要な分子機構、特にレプトスピラの運動性の関与を解明するため、トランスポゾンによる遺伝子組換えレプトスピラライブラリーを用いて解析を行なった。 まず、遺伝子組換えレプトスピラライブラリー各菌株の運動性を確認した。各菌株を軟寒天(0.5%)コルトフ培地へ播種し、最大2週間観察を行いコロニー直径を比較した。野生型に比べ有意に直径が減少している菌株を運動性低下菌株とした。これら運動性低下菌株に関して、トランスポゾンの挿入位置を確認したところ、鞭毛構造に関する遺伝子への挿入が認められた。その中でも、同一遺伝子の異なる位置にトランスポゾンが挿入された株(M1株、M2株)について、液体培地中での運動能を計測した。液体培地中の菌体の遊泳をビデオカメラで記録しその回転数を比べると、野生型に比べ変異型はそれぞれわずかに回転数が低下していた。またその遊泳速度を計測したところ、野生型に比べ遊泳速度が低下していた。この速度は、Ficollを加えることで粘性を増加させた場合にもほとんど変化がなかった。 さらにこのM1、M2株を用いて感受性動物であるハムスターへの感染実験を行なったところ、M1株の病原性は野生型に比べて低下していたが、M2株の病原性は野生型と同等であった。このトランスポゾンが挿入された遺伝子に関して、その挿入位置で病原性が変化することが示された。今後はこの遺伝子の機能やドメインに関して探索を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は2019年1月~3月において、鳥取大学医学部動物実験施設感染区域の空調工事が行われたため、その期間動物実験を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
鞭毛遺伝子変異株M1、M2に関してその病原性(感染経路別、菌数別)をより詳細に検討する。またこの鞭毛遺伝子のドメイン探索や局在、その機能に関して生化学的、情報生物学的探索を進める。 レプトスピラは感染後に周囲の環境を感知して遺伝子発現を変化させていると考えられる。ハムスター脂肪組織へ感染した後の発現変化を、RNA-seq法を用いて網羅的に解析し病原性に関与する因子を同定する。
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Causes of Carryover |
今年度は2019年1月~3月において、鳥取大学医学部動物実験施設感染区域の空調工事が行われたため、その期間動物実験を進めることができなかった。 次年度はこの期間に行うはずであった動物実験を行い、その動物購入費用・飼育料として使用する。 また通常3月に開かれる日本細菌学会総会が、今年は開催地(札幌)の都合により4月開催となった。そのため旅費は次年度に使用する。
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