2019 Fiscal Year Research-status Report
新規HIVプロウイルス編集システムとゲノム編集促進薬によるHIV排除法の開発
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18K16180
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 朋文 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 研究員 (00772526)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HIV-1 / AAV / SaCas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2019年度研究実施内容は、作成されたSaCas9を搭載したcapsid遺伝子改変AAV(rAAV-eSaCas9/HIVsgRNA)とeSaCas9を搭載したGesicle-eSaCas9/HIVsgRNAの新しいデリバリーシステムの分析・評価である。AAVはcapsidの血清型によって細胞・組織指向性が変化するウイルスで、AAV capsid のアミノ酸配列に依存している。したがって、特定の標的となる細胞・組織への特異的かつ効率の良い遺伝子改変AAVが作製可能である。HIVの感染細胞として主要なCD4陽性T細胞(MT4細胞)に対して指向性の高い遺伝子改変AAVを作成するために、蛍光を発現する能力を有するrAAV-Venus作成した。さらにrAAV-VenusをMT4細胞へ感染させ、蛍光輝度の高い細胞から分離したcapsid配列を確認・遺伝子導入を繰り返し、よりMT4細胞指向性の高いrAAV-Venusを作成を試みた。そのようにして作成されたcapsidを導入されたrAAV-eSaCas9/HIVsgRNAのMT4細胞への感受性を評価した。また、遺伝子改変型エクソソームデリバリーシステムは、市販されているGuide-it CRISPR/Cas9 Gesicle Production Systemを用いた。plasmid内にコードされているSpCas9を効率的なeSaCas9に変更し、様々な特異的HIVsgRNA配列も合わせて導入した。このように編集したplasmidを293T細胞に遺伝子導入することによって、eSaCas9/HIV-sgRNAを含有するGesicleを作成し、MT4細胞への感染性を評価をした。最終的に、それぞれのシステムでのHIV-1増殖抑制能およびHIV-1感染細胞のHIV-1プロウイルスゲノム排除率の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子改変rAAV-eSaCas9/HIVsgRNAとGesicle-eSaCas9/HIVsgRNAの新規デリバリーシステムを作成し、HIV-1の感染細胞であるMT4細胞とその他U937細胞やPBMC等に対して、どの程度の特異的な感染効率を有するか解析した。しかし、デリバリーシステムの作成やrAAV・Gesicleの採取にかなりの時間及び費用が生じた。かつ、MT4細胞に劇的に感染性が向上したデリバリーシステムの構築には未だ難航している。また、改変なしでのrAAV-eSaCas9/HIVsgRNAとGesicle-eSaCas9/HIVsgRNAデリバリーシステムによるHIV-1増殖抑制効果は、未だわずかな抑制効果にとどまり、薬剤等と比較して有意な効果は認めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きHIV-1感染細胞(MT4細胞)に対して感染性の向上させたrAAV-eSaCas9/HIVsgRNA(キメラCapsidの作成、等)とGesicle-eSaCas9/HIVsgRNA(効果的なCRISPA-Cas9の導入、等)デリバリーシステムの作成を継続する。同時にHIV-1増殖抑制能およびHIV-1感染細胞からのHIV-1排除効率を解析・評価を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
旅費及び人件費の支出が予定よりも少なかったので、次年度使用金額が生じてしまった。次年度使用金額は、翌年度分の物品費の購入に充てる予定である。
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