2019 Fiscal Year Research-status Report
Clarification of the mechanism of seasonal influenza-related enteritis
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18K16183
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
廣瀬 亮平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50795383)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
季節性ヒトインフルエンザA型・B型ウイルス(IAV/IBV)は、ヒトにおいては上気道感染を起こすウイルスとして広く知られている。一方でIAV/IBVの症例の中には、腹痛・嘔吐・下痢といった消化管症状を認める症例が散見されている。過去の研究においては、腸管感染に肯定的な報告・否定的な報告の両方があり、 IAV/IBV腸管感染の可否については未だ結論が出ていない。 以前に我々は前向き観察研究を行い、IAV/IBVの腸管感染を強く示唆する臨床データを報告した(Hirose et al. Clin Microbiol Infect 2016、2017)。さらに我々はIAV/IBVが腸管感染を起こすメカニズム解明の一端として、IAV/IBVが腸管内の環境に耐え、不活化されずに感染性を維持するメカニズムの解明に着手している(Hirose et al. J Infect Dis 2017)。 本研究では、『IAV/IBVの腸管感染を証明すること』、『IAV/IBVが腸管内の環境で不活化されずに感染力を有したまま小腸・大腸に到達し、腸管上皮に感染を起こすメカニズムを解明すること』を目的としている。
次年度は季節性ヒトインフルエンザA型・B型ウイルス(IAV/IBV)が腸管内の環境で不活化されずに感染力を有したまま小腸・大腸に到達し、腸管上皮に感染を起こすメカニズムの解明を進めた。具体的には、ヒト結腸癌由来細胞とヒト小腸・大腸初代培養細胞において、MAA・SNAレクチン染色によるシアル酸レセプター(SAα2,6,SAα2,3)の発現状況の評価とウイルスの細胞侵入効率を解析した。その結果、腸管上皮にはSAα2,6,SAα2,3両方のシアル酸レセプターの発現が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次年度はヒト結腸癌由来細胞とヒト小腸・大腸初代培養細胞を用いた糖鎖構造解析、マウスを用いた粘液条件下のIAV/IBV経口感染実験(ウイルス嚥下モデル)を進めていく予定であった。 しかしマウスへのIAV/IBVの経口投与によって腸管感染を認めないため、投与条件の模索を行っている。そのため細胞を用いたin vitroでの評価をさらに進める必要があり、研究計画を当初の2年間から3年間に延長し研究を進めることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次々年度は引き続きマウスを用いた粘液条件下のIAV/IBV経口感染実験を行う。 具体的には、マウスでのウイルス嚥下モデルを構築する。マウス(BALB/c,5週齢,雌)に、初年度作成した粘液とウイルスを混合したものをゾンデで経口投与する。投与後1~7日にマウスを安楽死させて、肺・小腸・大腸を摘出し組織をホモジネートした後にウイルス力価とRNAの定量を行い感染の有無を評価する。また1~7日までの糞便を採取しウイルス力価とRNAの定量を行う。 さらに、細胞を用いたin vitroでの評価をさらに進める予定である。 具体的には、腸管上皮細胞を用いた評価からさらに発展させて、三次元・オルガノイド培養を行ったヒト由来細胞を用いた評価を追加で行うこととする。
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Causes of Carryover |
実験動物を用いたin vivoでの評価において想定していた結果が得られず、そのため細胞を用いたin vitroでの評価をさらに進める必要があった。 具体的には、研究期間(2018-2019年度)に試行していた腸管上皮細胞を用いた評価からさらに発展させて、三次元・オルガノイド培養を行ったヒト由来細胞を用いた評価を追加で行う。上記評価を行うため研究期間を1年延長し、研究費の一部を繰り越しとする。
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