2020 Fiscal Year Research-status Report
酵母発現系を用いたMycoplasma hominis病原因子の同定
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18K16187
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
河合 泰宏 金沢医科大学, 金沢医科大学氷見市民病院, 准教授 (10388936)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Mycoplasma hominis / 病原因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
Mycoplasma hominisは、骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease:PID)や帝王切開術後感染症などの周産期病態との関連や従来効果のある抗菌薬に対する耐性が報告されている。 マイコプラズマ属は細菌蛋白を宿主へ注入し、宿主細胞内での生理的機能を撹乱することにより病原性を発揮していると予想される。M. hominisの病原因子の同 定により、新たなマイコプラズマ属感染の治療・予防および持続感染による慢性炎症の予防・進行阻止が期待できる。 M. hominisの全ゲノム情報を基に、機能未知遺伝子を選抜し、それぞれに対する1対のプライマーを作製した。M. hominisのATCC23114株を液体培地で培養し、培養液からゲノムの抽出を行った。抽出したゲノムから得られたPCR産物を、酵母用ドナーベクターにクローニングを行い、クローニング後、それぞれのクローンの塩基配列の確認を行い、-80℃に保存し、スクリーニングに備えている。 作製したライブラリーを酵母株に形質転換し、網羅的にM. hominis病原因子候補をスクリーニングするために、酵母発育用の培地や酵母遺伝子発現を調整する誘導培地の作成、酵母培養用の酵母発現系の実験環境の整備が完了できた。 ATCC株だけでなく、臨床分離株についても、培養、ゲノム抽出を行い、既に機能が明らかにされている一部の遺伝子配列について解析を行い、菌株間での相違について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
酵母発現系実験を実施する実験環境を整備に時間を要した。 また、臨床分離株でも検討するために、培養、ゲノム抽出、遺伝子増幅を行っていたが、標準株と異なり培養やプライマーの設計、条件設定に苦慮した。
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Strategy for Future Research Activity |
標準株(ATCC23114)を用いたM. hominisの機能未知遺伝子ライブラリーを酵母株に形質転換し、網羅的にM. hominis病原因子候補をスクリーニングする。誘導培地での過剰発現により致死になるものを病原因子候補とする。Green Fluorescent Protein (GFP)で標識した病原因子候補をHeLa細胞に導入し、病原分子の細胞内局在を種々のオルガネラマーカーと比較し共焦点レーザー顕微鏡を用いて解析する。また、病原分子を導入した際の経時的な細胞の変化を、タイムラプス蛍光顕微鏡を用いて細胞生物学的および生化学的に解析する。 また、臨床分離株を用いた菌株毎の遺伝子配列の相違と表現系の相関について検討する。
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Causes of Carryover |
酵母培養のため購入予定であった高精度型インキュベーターが、研究実施施設の設備を使用できることになったため購入する必要がなくなった。また、マイクロチューブミキサーを次年度購入予定とした。
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