2019 Fiscal Year Research-status Report
腟内ミクロビオータ解析に基づく女性生殖器感染症に対するテーラーメイド治療法の開発
Project/Area Number |
18K16188
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
山岸 由佳 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60512241)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腟内ミクロビオーム / 妊婦 / 不妊 / メタゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、不妊症を有する日本人女性における腟内ミクロビオームを明らかにすることを目的とし、不妊治療中*および妊婦(切迫流産傾向、不妊治療後の妊婦含む)20例の計30例(*:女性不妊で、体外受精の適用と判断された患者)を対象に、培養法・次世代シーケンサーによる腟内細菌叢解析を行うものである。本研究は愛知医科大学病院の倫理審査にて2019年4月15日に承認(承認番号2019-H023)を受けている。 産婦人科を受診した不妊治療中の未妊婦計32名から検体を採取した。 膣粘液を用い16S rRNAメタゲノム解析を行った結果、32名の腟内細菌叢は大きく2つのクラスター(クラスター1・クラスター2)に分類され、構成菌叢に違いが認められた。さらにクラスター毎のNugent scoreに差がみられた。次にそのうちサンプリングから10か月時点での調査が可能な16例において、妊娠に至った7名と至らなかった9名では、クラスター別の妊娠率に差が認められた。 さらに、妊娠の治療別の比較ではタイミング法と体外受精により治療を受けた患者の菌叢の構成比に有意な差が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
産婦人科を受診した不妊治療中の未妊婦計32名から滅菌スワブを用いて採取した腟粘液を用い16S rRNAメタゲノム解析を行った。その結果、32名の腟内細菌叢は大きく2つのクラスターに分類された(クラスター1・クラスター2)。各クラスターには16名ずつ分類された。クラスター1はLactobacillus spp.優勢の菌叢を示したのに対し、クラスター2はLactobacillus spp.のみならず、Gardnerella spp., Atopobium spp., Bifidobacterium spp. and Streptococcus spp.等様々な属種で構成される複雑な菌叢を示した。 また、クラスター1の平均Nugent scoreが1.1であったのに対し、クラスター2では4.9とクラスター2で高い値を示す傾向であった。さらに、サンプリングから10か月後の時点での妊娠に至ったかどうかの調査では、16名中7名が妊娠に至っていた。各クラスターの妊娠率を比較した結果、クラスター1では57.1%(4名)が妊娠に至ったのに対し、クラスター2では33.3%(3名)とクラスター1に含まれる患者において妊娠率が高い傾向を示した。また、各患者における治療法を調査した結果、タイミング法は9名、人工授精は10名、体外受精は11名、その他が2名であった。各治療法と各患者の腟内細菌叢の構成比を比較した結果、タイミング法と体外受精により治療を受けた患者の菌叢の構成比に有意な差が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに新たに、検体数を増加させるのに加え、残り16例の10か月時点での妊娠関連情報収集を行う。また、MALDI TOF-MSを用いて各培地に生育した菌株の菌種同定を行う。出産に至った症例については妊娠に関する情報を調査し、腟内細菌叢と妊娠・出産の関連性について検証する。
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Causes of Carryover |
対象者の検体数の関係で消耗品費を繰り越したものである。
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