2022 Fiscal Year Research-status Report
腟内ミクロビオータ解析に基づく女性生殖器感染症に対するテーラーメイド治療法の開発
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18K16188
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山岸 由佳 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (60512241)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腟内細菌叢 / 不妊 |
Outline of Annual Research Achievements |
産婦人科を受診した不妊治療中の未妊婦計77名から滅菌スワブを用いて採取した腟粘液を用い16S rRNAメタゲノム解析を行った。その結果、77名の菌叢はLactobacillusの割合により大きく2つのクラスターに分類された。50名は、Lactobacillusの割合が50%以上でLactobacillus優勢の菌叢検出者(Lactobacillus dominated microbiota: LDM)に分類され、27名はLactobacillusの割合が50%未満であるLactobacillus非優勢の菌叢検出者(Lactobacillus non-dominated microbiota: LNDM)に分類された。サンプリングから6か月後の時点での妊娠に至ったか否かの調査では、LDMに分類された50名中13名(26%)、LNDMに分類された27名中6名(22.2%)が妊娠に至り、LNDMにおいて妊娠率が高い傾向を示した。LDMはLNDMよりも有意にα多様性が低く(p<0.01)、両群はβ多様性においても菌叢が有意に異なった(p<0.01)。LEfSe解析の結果、LDMではLactobacillusが、LNDMではStreptococcus、Bifidobacterium、Gemella、Prevotella、Dialisterが多く検出された。また、LNDMに特徴的であったBifidobacteriumの検出の有無によるクラスター解析の結果、Bifidobacteriumが検出された群において妊娠の有無で菌叢が異なる傾向が認められた。本研究結果より、VMと妊娠には何らかの相関関係があり、不妊治療においてLDMとLNDMは分けて考える必要があり、さらに治療方法も保有する菌叢によって変える必要がある可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに84検体の腟検体を採取済であり、妊娠成功率については調査が完了しているが、各患者情報をより詳細に調査するため診療録の回顧的な調査を継続予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンサーによる菌叢の構成比を算出し、これまでのデータと併せた多様性解析を行うことで、群間でどのような差異が生じるかを検証する。併せて患者情報の取得も診療録を回顧的に調査することで行っていく。MALDI TOF-MSを用いて各培地に生育した菌株の菌種同定を行う。さらに機能遺伝子の解析も実施することで腟内細菌叢と妊娠や不妊との関連性を検証していく。
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Causes of Carryover |
対象者の検体数の関係で消耗品費を繰り越したものである。 使用計画として、サンプリングを実施した医療機関への旅費および追加解析に関する費用として使用することを計画している。
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