2018 Fiscal Year Annual Research Report
肥満病態における視床下部特異的セリンプロテアーゼ阻害分子SerpinA3の意義
Project/Area Number |
18K16198
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation at Kobe |
Principal Investigator |
金子 賢太朗 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員 (30636999)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レプチン抵抗性 / 視床下部 / レプチン / SerpinA3 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗肥満ホルモンであるレプチンは視床下部レプチン受容体を介して食欲を抑制する。しかし高脂肪食摂取等の過栄養状態では、視床下部のレプチン応答性障害(レプチン抵抗性)が起こることにより過食とエネルギー代謝活性の低下を来し、さらなる肥満の増悪と代謝異常症候群の合併が惹起される。肥満における視床下部レプチン抵抗性を改善することにより、強力な抗肥満効果が発揮されることから、レプチン抵抗性の分子基盤の解明は肥満研究分野における最重要課題の一つである。我々は、レプチン抵抗性の高脂肪食肥満マウス、レプチン感受性の遺伝性肥満ob/obマウス、高脂肪食から標準食へ変更しレプチン感受性を回復させた減量マウスを用いて、視床下部弓状核の網羅的遺伝子発現解析を実施した。結果、肥満度およびレプチン抵抗性に強い相関を示す、内在性プロテアーゼ阻害分子SerpinA3 を同定した。これまで脳内の内在性プロテアーゼ阻害分子がレプチン抵抗性や肥満に関与するという報告はない。そこで本研究では、独自のin vitro視床下部器官培養系を用い、レプチンによるSTAT3リン酸化を指標に免疫組織化学およびウエスタンブロットによって、SerpinA3 によるレプチン抵抗性誘導活性を解析した。結果、視床下部器官培養系において、SerpinA3 がレプチン依存性STAT3リン酸化を減弱させることを確認した。また、BV-2マイクログリア細胞株を用いた検討により、レプチン抵抗性への関与が知られているマイクログリアの炎症反応をSerpinA3が強力に誘導することを見出した。さらに重要なことに、SerpinA3のin vivoマウス脳室内投与により、レプチンによる体重減少作用が減弱することを明らかにした。本研究の遂行により、これまでレプチン抵抗性との関連が全く知られていないSerpinA3のレプチン感受性に及ぼす役割が明らかとなった。
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Research Products
(2 results)