2020 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージは全身の脂質代謝を制御し、肥満症治療の標的となる
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18K16200
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 哲也 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (40792346)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脂肪酸 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満症とは、長鎖脂肪酸が脂肪組織および他組織に蓄積し、体重の増加と種々の合併症を来す疾患である。昨年度までの進展として、本研究で用いるノックアウトマウスでは食事から摂取された脂肪酸の体内動態が顕著に変化し、脂肪組織に蓄積しにくくなっていることが示唆された。そこで、マウスにおけるin vivoの脂肪酸トレーシング実験系を新規に開発した。従来の代謝物トレーサーは放射性同位体または重水素等を含み、放射線を検出するか質量分析法によって検出される。しかし放射性同位体標識トレーサーを用いることができる動物実験施設は限られており、さらに投与後の動物から放射性同位体を含んだ二酸化炭素や水が排泄される危険性もあり、取り扱いに注意が必要である。また質量分析計を用いた検出法は、専門技術を持った研究者との共同研究になるため、気軽に様々な条件で実験し毎回お付き合い頂くということは現実的に難しく、検出遂行とデータ報告に時間がかかることもやむを得ない面がある。我々は蛍光標識脂肪酸を用いたin vivo脂肪酸トレーシング実験系の開発に取り組み、これを完成させた。検体必要量は血漿5マイクロリットルであるため、マウスに負担を与えず経時的に何度も採血が可能である。さらにS/N比が極めて高い実験系であり、蛍光物質投与マウスと非投与マウスの血漿が示す蛍光強度の比率はピーク時点において3,000倍であった。コストにも優れ、蛍光標識脂肪酸は市販品かつマウス1匹あたり数百円~1,000円程度ですみ、他に必要な物品は96 wellプレートと通常のマイクロプレートリーダーである。このように簡便かつ優れた実験系が完成し、論文として今後報告するとともに、我々の研究進展の核となる実験系として頻繁に利用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の遂行に必要となる実験系を自ら新規に開発し、感度・S/N比・コストのいずれにおいても優れた実験系が完成した。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪酸の体内動態を自由に解析できるようになり、肥満抑制物質の探索、メカニズムの探求を今後加速させられる。
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Causes of Carryover |
2021年3月1日に発注し3週間で納入される予定であった53,306円の試薬1点の納入が遅れたため、次年度使用額53,543円が生じた。 この遅れは新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う輸入の遅れが原因であり、研究者および国内業者ではどうにもできない不可抗力である。 該当の試薬は2021年4月2日に研究室へ納入されたため、研究進展に対する悪影響はほぼなかったと考えている。
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Research Products
(1 results)