2019 Fiscal Year Research-status Report
肥満関連腎臓病の発症基盤となる炎症応答におけるオートファジーの役割の解明
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18K16204
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
乙田 敏城 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任助教 (60719946)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肥満関連腎臓病 / 炎症 / オートファジー / 自然免疫 / ミエロイド系細胞 / マクロファージ / インフラマソーム / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満関連腎臓病の発症要因となる腎組織における自然炎症応答の亢進には、自然免疫を担当するミエロイド系細胞のオートファジー障害が関与するとの仮説に則り、平成30年度はミエロイド系細胞特異的にオートファジー機能異常を来す遺伝子改変マウスでの解析を進めた。当該マウスの腹腔に脂肪酸結合ウシ血清アルブミン(FA-BSA)を投与して尿細管障害を引き起こす疾患モデルや、当該マウスから単離したマクロファージをFA-BSAで刺激するモデルを解析した。組織化学観察から、当該マウスでは強く尿細管障害が惹起されることを確認している。また、当該マウスの尿と腎臓についてプロテオミクスを行い、複数の障害マーカーや自然免疫担当細胞が放出する複数の組織障害誘導因子の上昇を確認した。ミエロイド系細胞におけるオートファジーは、脂肪酸負荷による尿細管障害を和らげる役割を果たしていることを見出している。 令和元年度は、平成30年度に確立した細胞レベルおよび個体レベルの系を用いて、引き続きミエロイド系細胞におけるオートファジーが自然免疫応答に及ぼす作用を検討した。さらに、プロテオミクスによりオートファジー不全のマクロファージから分泌亢進するタンパク質として、ProteinXを同定した。ProteinXのリコンビナントタンパク質やProteinXに対する阻害剤を当該マウスに投与し、ProteinXが当該炎症応答を亢進させる炎症惹起因子か否かを検証した。オートファジー不全のマクロファージから分泌亢進するProteinXは、FA-BSA誘導腎障害を増悪させることを見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究室移動のため、本研究に必要な実験設備をすぐには整えることができず、令和元年度前半は研究の進行が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
自然免疫担当細胞におけるオートファジーが自然免疫応答に及ぼす作用を、マウスから単離した腹腔マクロファージ (PEC) や骨髄由来マクロファージ(BMDM)を用いた細胞レベル、および遺伝子改変マウスを用いた個体レベルの系を確立し、それぞれのレベルで実験が進行中である。 ①オートファジー不全のマクロファージからの放出が亢進するProteinXがどのように免疫細胞を制御するのかを検討する。 ②オートファジー不全によりProteinXの放出が亢進するメカニズムを検討する。 ③ProteinXとサイトカインの関係を検討する。 申請時の作業仮説に加えて、これまで注目されていない新しい炎症惹起メカニズム(NLRP3インフラマソームに依存しない新規経路)が明らかになりつつある。
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