2018 Fiscal Year Research-status Report
睡眠障害による肝脂肪蓄積を標的としたインスリン抵抗性の病態解明
Project/Area Number |
18K16213
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
鴫山 文華 東邦大学, 医学部, 助教 (70808188)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 睡眠障害 / インスリン抵抗性 / 肝脂肪蓄積 / 2型糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、ある特定の睡眠調節遺伝子改変モデルマウスは用いずに、C57BL/6J雄性マウスを用いて物理的な睡眠障害によって耐糖能が悪化するモデルを確立した。方法として、10週齢のC57BL/6J雄性マウスを高脂肪食・高ショ糖水で2週間飼育して最終日に2群に分け、コントロール群は自由に睡眠させ、睡眠障害群は朝8時から6時間の睡眠障害を負荷した。負荷当日は2群共に絶食とし、運動制限をかけ、食事・運動の条件は2群間で揃えた。6時間の睡眠障害後、腹腔内ブドウ糖負荷試験(2 g/kg-BW)(各群n=8)で耐糖能を、ピルビン酸負荷試験で肝臓のインスリン抵抗性を評価した。その結果、インスリン標的臓器である肝臓中の中性脂肪含量が有意に増加し、肝糖新生の基質であるピルビン酸負荷後の血糖上昇も有意に高く、脂肪肝による肝インスリン抵抗性の存在が明らかになったことを、American Journal of Physiology 誌に報告した。(Shigiyama F, et al. Am J Physiol endocrinol Metab, 2018.315. E848-E9858)本報告は2018年9月のAmerican Journal of Physiology SocietyによるAPS Selectを受賞した。さらに、マウスのElovl3遺伝子配列に特異的な siRNAを用意するために、Elovl3特異的なsiRNAを作成し、negative controlであるFactor 7と共にSigmaAldrich社に発注し、C57BL/6Jマウスへの投与を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
siRNAの品質管理としてin vitroでの発現抑制はSigma-Aldrich社により確認されているが、in vivoでの効果は不明であり、届き次第マウスの尾静脈よりElovl3のsiRNAを投与し、肝臓のElovl3遺伝子の発現抑制を確認する必要が生じた。本年度は、C57BL/6JマウスにsiRNAを投与し、肝臓の組織採取まで実施した。siRNAの作成に時間を要したが、投与までは問題なく進行しているためおおむね順調に進行と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、Elovl3とFactor7の発現レベルをRT-PCRを用いて定量的に確認していく。siRNAの有効性を確認後、睡眠障害をかけながらElovl3のsiRNAを投与し、肝臓での中性脂肪の測定を実施していく。Elovl3の肝臓特異的siRNAの使用により、睡眠障害による肝脂肪蓄積が改善していた際には、さらに、Elovl3のsiRNAを投与しながら睡眠障害をかけ、耐糖能ならびに肝糖産生がどのように変化しているかを腹腔内糖負荷試験ならびにピルビン酸負荷試験で検証していく。
|
Causes of Carryover |
ほぼ予定通りに執行し、経費節減ができた為、わずかな残高が発生した。 次年度は、備品や試薬の購入、学会出張、論文投稿での使用を予定している。
|