2019 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive analysis of the mechanisms of pancreatic beta cell proliferation by vagal nerve signals for therapeutic application
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18K16221
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井泉 知仁 東北大学, 大学病院, 助教 (80747064)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 迷走神経 / 膵β細胞 / 肝臓 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者らが見出した迷走神経シグナルによる細胞増殖機構のさらなる詳細の解明と、実際の治療対象を想定した高齢動物での検討を行った。具体的には①膵臓内迷走神経解剖の解明、②迷走神経由来因子によるヒト膵島での細胞増殖誘導効果の検討、③臓器間ネットワーク活性化による高齢モデル動物に対する膵β細胞増殖効果の検討の3点について進めた。 ①膵臓内迷走神経解剖を検討するため、臓器透明化技術をマウス膵臓に適用し、膵臓内副交感神経節の可視化に成功した。その観察の結果、多くの膵臓内副交感神経節が膵島に近接して存在することが明らかとなった。今後さらなる観察を進め、定量データの収集を継続する。 ②これまで本邦では良質なヒト膵島の入手が困難であったが、海外の研究室との交渉を進め入手ルートを確立した。今後解析を進めていく。 ③高齢マウスでは膵β細胞の増殖能が著しく低下しているが、実際に治療対象となる糖尿病患者は高齢者が多いことを踏まえ、高齢動物での迷走神経シグナルによる膵β細胞増殖効果を評価した。高脂肪食負荷により膵β細胞への迷走神経シグナルを誘導したところ、高齢マウスの膵β細胞でも増殖が強く促進され、膵β細胞量が増加した。この結果から、迷走神経シグナルは高齢動物の膵β細胞増殖をも誘導し得ることが示された。 さらに本研究では、迷走神経シグナルによる細胞増殖機構が他臓器にも存在するか、肝臓切除後の再生モデルを用いて検討した。その結果、肝臓切除後の早期に迷走神経シグナルにより肝細胞の増殖が強く誘導されること、そしてそれは迷走神経-マクロファージ-肝細胞連関を経るという詳細な機構を明らかにした(Nature Communications 2018)。以上の成果から、迷走神経シグナルによる細胞増殖機構の応用が、糖尿病や肝臓切除後の肝不全に対する有望な治療法の開発につながることが期待される。
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Research Products
(2 results)