2018 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞のCh25h発現低下による劇症1型糖尿病発症メカニズムの解明
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18K16230
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細川 吉弥 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (10814569)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MIN6 / iPS細胞 / 25HC / ch25h |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で私どもはサイトカイン刺激後の劇症1型糖尿病患者iPS細胞由来インスリン陽性細胞を単離しRNAシークエンスにて発現が著明に低下していた遺伝子としてCH25H (Cholesterol 25-Hydroxylase) を見いだしている。CH25HはCholesterolから25HC(25Hydroxycholesterol)を産生する酵素であるが、これまでのMIN6(マウスβ細胞株)における25HCの抗アポトーシス効果の検討に加えて、今回、劇症1型糖尿病患者iPS細胞3クローンから分化誘導して得られたインスリン陽性細胞を含む細胞において、サイトカイン(TNF-α+IL-1β+IFN-γ)にて上昇したCaspase3活性が25HCを投与することでいずれのクローンにおいても有意に低下することを見出した。また免疫染色において劇症1型糖尿病患者iPS細胞由来インスリン陽性細胞に占める活性型Caspase3陽性細胞の割合を検討したところ、25HCを投与した場合には投与しない場合に比し有意に低下することを見出した。このことから劇症1型糖尿病患者iPS細胞由来インスリン陽性細胞における25HCの抗アポトーシス効果を見出した。 また、現在大阪大学工学部と共同で、血中25HC濃度測定系の樹立をすすめている。今回、健常人血漿中の25HC濃度をGC-MS/MSを用いた内部標準法で測定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は主にin vitroおよび血中25HC測定系の樹立に時間を要したため、in vivoの実験には着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroの検討においてはMIN6およびiPS細胞由来β細胞における25HCの抗アポトーシス効果のメカニズムの検討を進めていく。 血中25HC濃度測定系の樹立においてはより簡便で必要血液量が少なくて済む外部標準法での測定系の樹立を目指す。この方法で1型糖尿病患者および健常人での血中25HC濃度を測定し、劇症1型糖尿病の新規バイオマーカーの確立を目指す。 また、in vivoの実験系の準備を進めていく。
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