2019 Fiscal Year Research-status Report
新規NASH誘導モデルマウスを用いたGPR43によるNASH発症抑制の検討
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18K16238
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
花谷 聡子 熊本大学, 病院, 特任助教 (60814762)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 短鎖脂肪酸 / 脂肪肝 / NASH |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では新たに開発したNASHモデル動物を用いて動物実験を実施し、短鎖脂肪酸の受容体であるGPR43シグナルとNASHの病態との関連を解析することを目標としている。NASHモデル動物は、6週齢の雄性C57BL/6マウスにgold-thioglucose(GTG) 0.2mg/kgを腹腔内投与することで過食を誘発し、さらに高脂肪高ショ糖食(HF/HSD)による飼育を行うことによって作成する。肥満、インスリン抵抗性に加え、肝における脂肪沈着、肝細胞の風船様腫大、炎症と線維化の出現を認めた場合NASH発症と判断している(Matteoni分類による組織学的評価)。一定の固定数においては、GTG投与群で非投与群と比較して過食、体重増加を認め、HF/HSD投与にてさらに体重増加の加速を認めた。GTG投与+HF/HSD投与にて明らかなインスリン抵抗性の出現も認め、投与開始24週間後のマウスにおいてNASH発症(肝における脂肪沈着、肝細胞の風船様腫大、炎症と線維化の出現)を確認した。 しかし、NASHモデル動物作成に時間を要しており最終的な評価に至っていない。そのため、短鎖脂肪酸とメタボシックシンドロームにおける肝疾患との関連を評価するため、過食による肥満、脂肪肝を呈するKK-Ayマウスを用いた検討も行った。KK-Ayマウスでは肝細胞の風船様腫大、炎症や線維化の出現は認めずNASH発症には至っていなかったが、肝への脂肪沈着を認めた。また、6週間の短鎖脂肪酸(酢酸)の経口投与では肝重量や脂質代謝に関連する因子の発現に明らかな変化は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
NASHモデル動物の作成が遅れてしまったため、計画が全体的に遅れている。GTG投与後の過食誘導などが上手くいかない個体を認めいること、長期間の投与期間を設定しているため、解剖後の評価に至っていない。 新規NASHモデル動物作成という当初の目標とは異なるが、他のNASHモデル動物での実験を平行し、短鎖脂肪酸やGPR43シグナルとNASHの病態との関連を解析することを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
①GTG投与による過食を誘発したC57BL/6マウスを高脂肪高蔗糖食にて飼育することによりNASHモデルマウスの作成を引き続き行う。②既知のNASHモデルマウスとしてコリン欠乏高脂肪食にて飼育したC57/BL6マウスも用いる。 ③短鎖脂肪酸によってNASHの発症が抑制されるか評価する。NASH誘導開始時より短鎖脂肪酸の経口投与を行い、体重・摂餌量、耐糖能、血清AST、ALT、T-CHO、TG、HDL-C、LDL-Cの測定、内臓脂肪重量、肝重量、肝臓における炎症マーカー(TNFα、MCP1など)や線維化マーカー(TGFb1、Col1a1、αSMAなど)、肝臓の形態学的な評価、星細胞の老化の評価、肝腫瘍発生の評価を行う。③すでに形成されたNASHの進展や、肝腫瘍発生が短鎖脂肪酸投与にて抑制されるか評価する。短鎖脂肪酸の経口投与をNASH形成後から開始し、長期間飼育し検討する。評価項目は②と同様とする。④短鎖脂肪酸によるNASHへの進展抑制効果がGPR43依存性であるか評価する。GPR43ノックアウトマウスにNASHを誘導し短鎖脂肪酸によるNASH進展抑制効果が消失することを確認する。評価項目は②と同様である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生したが、少額であり使用計画に大きな変更はない。
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