2018 Fiscal Year Research-status Report
Identification of ARNO-interacting molecules
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18K16239
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
山岡 真美 大分大学, 医学部, 客員研究員 (10783847)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 糖尿病 / 生体分子 / 蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、グルコースがインスリンを放出させるだけではなく、エンドサイトーシスを開始させることを明らかにした。私は最近、エンドサイトーシスの実行分子を解析する過程で、グルコースによって細胞膜に集積したARNOがこのシグナルを制御することを明らかにした。一方、グルコースとARNOの集積を結ぶシグナルは、未だ不明である。私は最近、ARNOと相互作用する分子として新たに3量体型Gタンパク質を同定した。本研究では、ARNOとその結合候補タンパク質である3量体型Gタンパク質が、グルコースによるエンドサイトーシスを制御するメカニズムを解明する。本研究は、エンドサイトーシスを分子レベルで解明することで、エンドサイトーシスをターゲットとした新しい治療薬を開発する基盤になり得る。 平成30年度は、結合が特異的な直接結合であり、かつ細胞内で複合体を形成していることを検討した。まず、3量体型Gタンパク質の精製タンパク質と抗体を作製し、免疫沈降法とin vitro binding assayにより結合が直接かつ特異的であることを明らかにした。また、精製タンパク質を用いた結合実験により解離定数(Kd)を算出し、結合の強さと複合体の性質を検討した。さらに、 膵臓の凍結切片やインスリン分泌細胞株であるMIN6細胞を免疫染色し、細胞内局在を検討した。最後に、ARNOのドメイン構造を指標にフラグメントを作製し、3量体型Gタンパク質結合部位を同定した。 以上の結果より、グルコースによるエンドサイトーシスの制御メカニズムの一端が明らかになった。本研究成果は、次年度以降に行う3量体型Gタンパク質によるARNOの制御機構を解析する上で極めて重要である。したがって、本年度の研究計画は、当初の計画以上進展していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ARNOとその結合候補タンパク質である3量体型Gタンパク質が、グルコースによるエンドサイトーシスを制御するメカニズムを、以下に従って解明する。 平成30年度は、ARNOと3量体型Gタンパク質の結合を評価する。平成31年度は、3量体型Gタンパク質がARNOを制御するメカニズムを解析する。平成32年度は、3量体型Gタンパク質の上流に位置する受容体の探索と機能解析を行う。 本年度は、ARNOと3量体型Gタンパク質の結合が特異的な直接結合であり、かつ細胞内で複合体を形成していることを明らかにした。従って、本年度の研究計画は、当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は、3量体型Gタンパク質の発現抑制がARNOの膜集積を抑制することを既に見出している。そこで、ARNOの局在を規定するPIP3やその産生酵素PI3キナーゼに3量体型Gタンパク質が及ぼす影響を調べる。 1) 申請者は、細胞内のPIP3産生量をモニターする系を既に立ち上げている(J. Cell Sci. 129,637-49,2016)。そこで、3量体型Gタンパク質のノックダウンや各種変異体を発現したインスリン分泌細胞のPIP3量をリアルタイムで計測する。 2) 3量体型Gタンパク質が制御するPI3キナーゼのアイソフォームを同定する。具体的には、各アイソフォームに特異的な阻害剤やsiRNAが、PIP3の産生やARNOの膜集積に及ぼす影響をモニターする。特に、GPCRとの関与が示唆されているp110γは、最優先で行う予定である。 3) インスリン分泌細胞をグルコースで刺激し、同定したPI3キナーゼの細胞内動態を共焦点レーザー顕微鏡と全反射蛍光顕微鏡で解析する。さらに、3量体型Gタンパク質のノックダウンや過剰発現がPI3キナーゼの細胞内動態に及ぼす影響を検討する。
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Causes of Carryover |
産休の為、年度途中より研究を開始したため。
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Research Products
(3 results)