2018 Fiscal Year Research-status Report
乳がんの免疫チェックポイント活性化に関わる脂肪酸の同定とその分子機構の解明
Project/Area Number |
18K16254
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川島 雅央 京都大学, 医学研究科, 助教 (80766676)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 脂肪酸解析 / 乳癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、乳がん細胞株を用いて、脂肪酸及び関連脂質をGC-MS, LC-MSによって分析する実験系の確立から開始した。特に脂肪酸に関しては、培養容器や環境中からのコンタミネーションが無視できない量で生じること、実験間での測定にかなりばらつきが生じる事などが判明し、その安定化と改善に時間を要した。その後、脂肪酸取り込みに関与する候補遺伝子Bに操作を加えた乳がん細胞株を用いて、脂肪酸解析を行った。結果、遺伝子Bにより選択的に取り込まれうる脂肪酸の構造を、概ね確認することができただけでなく、環境ストレス応答性の脂肪酸を同定することに成功した。また、脂肪酸の取り込みに関与する遺伝子の候補は当初Bの1種類であったが、さらに分析を重ねたところ、もう一種類の有力な候補遺伝子が同定された。このため、その遺伝子を標的にして、同様の実験を開始している。これらの実験は、これまでの所、順調に進行している。 また、遺伝子Bをノックダウンした細胞株を用いてRNA-seqによる遺伝子発現解析を行った。現在、取得したデータを解析中であるが、ここでは当初の予想通り、遺伝子操作の前後で免疫チェックポイント経路の活性の変化が確認された。現在、複数の乳がん細胞株を用いて同様の実験を行い、細胞種を問わず、同様の現象か確認されるかを検証中である。 これと並行して、RNAiの安定発現系の細胞株の準備に取り掛かった。これを用いて次年度以降予定している、マウスXenograftの実験を行う予定にしている。研究成果はCell Symposiaにて一部公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験装置の調整や、脂肪酸測定・解析の実験系の安定化に予定より若干時間を要したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
時間を要する工程などは可能な限り外部委託し、実験の効率化を図る。また、共同研究のネットワークを活用し、実験系の組み立て・ダウンストリームの解析のスピードアップを図る予定にしている。動物実験に関しても、経験豊富な研究員に協力を要請する予定にしている。
|
Causes of Carryover |
今年度予定分の組換えDNA実験の一部が遅延したため次年度に繰り越しとなった。
|
Research Products
(2 results)