2020 Fiscal Year Research-status Report
Generation of SIN3A mutant knock-in mice using GONAD method and searching of target molecule of breast cancer
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18K16255
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
渡邉 健司 山口大学, 大学研究推進機構, 助教 (50711264)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乳がん / ゲノム編集 / GONAD法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ERα 陽性乳がんの治療の一つとして内分泌療法が行われるが、多くの場合耐性が認められる。耐性を打破するためには、恒常的な ERα 高発現を抑制する効果的な治療法の開発が必要である。一方、乳がんはゲノム異常の蓄積が病態に関与する。研究代表者らは、ERα 発現を増加させる遺伝子変異の同定を試みた。研究代表者らは、ERα 発現を増加させるSwitch-Independent 3 Transcription Regulator Family Member A (SIN3A)遺伝子に変異を検出した。ERα 発現に対する機能を検討した結果、(i) 変異体は ERα の発現を上昇させるLoss-of-function 変異であること、(ii) 変異体は、乳がん細胞株の増殖を促進することを見出すことができた。現在、SIN3A変異体の機能をさらに詳細に検討するために、Genome-editing via Oviductal Nucleic Acids Delivery (GONAD)法を用いてSIN3A変異体を乳腺特異的に発現するノックインマウスの作成を試みている。変異体を発現するマウスを作成するための予備検討を実施した。まず操作手技を確立するため、1本鎖DNAを用いずにGONAD 法を行うことでAKR1B7 のKO マウスを作成した。GONAD 法を用いて処置したマウスから52匹の胎児が生まれた。生まれた胎児の内、7匹(13.5%)が、両アレルのAKR1B7がノックアウトされていた。20匹(23.1%)は、AKR1B7の片方のアレルのみノックアウトされていた。13匹(25%)は、複数の箇所がノックアウトされたモザイク状態であった。このように一回のGONAD法によるマウスへの処置で短期間に両アレルノックアウトマウスを作成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、SIN3A変異乳がんの分子機構を解明し、治療標的を同定するために、以下の3点について明らかにすることを考えている。①GONAD法により、乳腺特異的変異SIN3A発現マウスを作成する。②作成したマウスまたは、SIN3A変異導入ヒト乳がん細胞株を用いてSIN3A機能低下乳がんにおける標的遺伝子の同定を行う。③作成したマウスにおいて腫瘍の発生を確認できた場合、同定した標的分子に対する治療薬の効果を検討する。現在①、②を進行中である。当初の計画では、長鎖の2本鎖 DNA を細胞の gDNA またはマウスの gDNA にGONAD 法を用いて導入する計画であったが、長鎖 DNA の導入効率が予想よりも低くノックイン細胞の作出が困難であった。研究協力者と共同で、GONAD法の手技の確立を目指し、1本鎖DNAを用いずに遺伝子改変マウスの作成を試みたところ、短期間でノックアウトマウスの作成に成功した。現在1本鎖オリゴDNAを用いたGONAD 法により遺伝子変異の導入を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者ららは、ERα 発現を増加させるSIN3A遺伝子変異乳がんの分子機構を解明するために、SIN3A変異体を発現するノックインマウスの作成を試みている。これまでの検討により、ノックイン用の1本鎖DNAを用いずに GONAD 法を行ったところ、約13%の確立で、両アレルが狙い通りに改変されたマウスの作成に成功し、GONAD法の手技に問題がないことを示した。今後は、まず短い1本鎖のオリゴDNAを用いてノックインマウスの作成を試み、ノックインマウスも作成できることを確認する。さらに長鎖の目的遺伝子配列であるCAG promotor-LSL (LoxP-DsRed-stop-LoxP)- GFP-SIN3A mutant cDNA 配列のノックインを試みる。CAG promotor-LSL (LoxP-DsRed-stop-LoxP)配列、GFP-SIN3A mutant cDNA 配列前半、後半の3つに分け、なるべく短いオリゴにすることでノックインを試みる。
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Causes of Carryover |
長鎖のプラスミドDNAを用いたノックイン細胞の作成が困難であったことから、新たな使用計画を考えた。新たに1本鎖オリゴDNA を用いたGONAD 法の条件検討及びSIN3A 変異体ノックインマウスを作成するため、以下のような予算の使用を予定している。CRISPER/CAS9発現プラスミドの準備費用として、2 万円を想定している。gRNA、変異配列ノックインのための1本鎖オリゴDNAの設計・合成費用として7 万円を想定している。ノックイン配列のシークエンスによる確認費用として3万円を想定している。ICRマウス、Cre-Tg マウスの購入・維持費として10万円を想定している。細胞の培養に必要な血清、培地やディッシュ、プレート等に年間5万円を見込んでいる。成果について論文投稿費として10万円を想定している。日本分子生物学会、日本生化学会での学会発表のための旅費として10万円を想定している。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Liver-specific dysregulation of clock-controlled output signal impairs energy metabolism in liver and muscle.2021
Author(s)
Takuro Matsumura, Yasuharu Ohta, Akihiko Taguchi, Syunsuke Hiroshige, Yasuko Kajimura, Naofumi Fukuda, Kaoru Yamamoto, Hiroko Nakabayashi, Ruriko Fujimoto, Akie Yanai, Koh Shinoda, Kenji Watanabe, Yoichi Mizukami, Keita Kanki, Goshi Shiota, Yukio Tanizawa
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun.
Volume: 534
Pages: 415-421
DOI
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[Journal Article] Enhancing calmodulin binding to cardiac ryanodine receptor completely inhibits pressure-overload induced hypertrophic signaling2020
Author(s)
Michiaki Kohno, Shigeki Kobayashi, Takeshi Yamamoto, Ryosuke Yoshitomi, Toshiro Kajii, Shohei Fujii, Yoshihide Nakamura, Takayoshi Kato, Hitoshi Uchinoumi, Tetsuro Oda, Shinichi Okuda, KenjiWatanabe, Yoichi Mizukami, Masafumi Yano
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Journal Title
Communications Biology
Volume: 3
Pages: -
DOI
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