2018 Fiscal Year Research-status Report
臓器移植の免疫寛容における制御性T細胞に制御される臓器特異的抗原の探索
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18K16268
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
篠田 和伸 東邦大学, 医学部, 助教 (60348737)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 免疫寛容 / 末梢性免疫寛容 / 臓器移植 / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、臓器移植における免疫寛容において、臓器グラフトのみで発現する非MHC抗原(血球細胞には発現していない)に対する免疫寛容が制御性T細胞による末梢性免疫寛容で担当されている事実を証明した。その非MHC抗原が臓器グラフトに特異的に発現しているか否かを追求することが、今回の研究の概要である。2018年度は二つの実験で成果が得られた。 実験1( 混合キメラマウスの細胞輸注によりドナー特異的免疫寛容が継続していることの確認) 混合キメリズム(DBA x B6Foxp3-DTR→ B6Foxp3-DTR) を誘導されたレシピエント(B6Foxp3-DTR)の脾臓細胞を採取し、DBAおよびC3H(3rd party)の皮膚グラフトをあらかじめ移植されたB6 RAG-1ノックアウトマウスに輸注した。C3H皮膚グラフトは拒絶されるが、DBA皮膚グラフトの免疫寛容が継続されることを確認した。これにより混合キメリズムを誘導されたリンパ球はRAG-1ノックアウトマウスに輸注された後も免疫寛容機能を保持していることが証明された。 実験2( 皮膚グラフトを拒絶した混合キメラマウスにメモリー細胞が存在することの確認) 混合キメリズム(DBA x B6Foxp3-DTR→ B6Foxp3-DTR) を誘導されたレシピエント(B6Foxp3-DTR)にDBAドナーからの皮膚移植を行い、ジフテリアトキシンでFoxp3陽性細胞を消去するとDBA皮膚グラフトは拒絶される。そのレシピエントの脾臓細胞を、DBAおよびC3Hの皮膚グラフトをあらかじめ移植されたB6 RAG-1ノックアウトマウスに輸注したところ、DBAおよびC3H皮膚グラフトがともに拒絶された。これにより一度免疫寛容機能を失った混合キメラマウスのリンパ球中にはメモリー細胞が存在し、別個体へ輸注後も免疫寛容機能が再現されることはないことが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書の段階で4つの実験を計画しており、2018年度は二つの実験で成果が得られた。 実験1( 混合キメラマウスの細胞輸注によりドナー特異的免疫寛容が継続していることの確認)混合キメリズム(DBA x B6Foxp3-DTR→ B6Foxp3-DTR) を誘導されたレシピエント(B6Foxp3-DTR)の脾臓細胞を採取し、DBAおよびC3H(3rd party)の皮膚グラフトをあらかじめ移植されたB6 RAG-1ノックアウトマウスに輸注した。C3H皮膚グラフトは拒絶されるが、DBA皮膚グラフトの免疫寛容が継続されることを確認した。これにより混合キメリズムを誘導されたリンパ球はRAG-1ノックアウトマウスに輸注された後も免疫寛容機能を保持していることが証明された。 実験2( 皮膚グラフトを拒絶した混合キメラマウスにメモリー細胞が存在することの確認)混合キメリズム(DBA x B6Foxp3-DTR→ B6Foxp3-DTR) を誘導されたレシピエント(B6Foxp3-DTR)にDBAドナーからの皮膚移植を行い、ジフテリアトキシンでFoxp3陽性細胞を消去するとDBA皮膚グラフトは拒絶される。そのレシピエントの脾臓細胞を、DBAおよびC3Hの皮膚グラフトをあらかじめ移植されたB6 RAG-1ノックアウトマウスに輸注したところ、DBAおよびC3H皮膚グラフトがともに拒絶された。これにより一度免疫寛容機能を失った混合キメラマウスのリンパ球中にはメモリー細胞が存在し、別個体へ輸注後も免疫寛容機能が再現されることはないことが証明された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は申請書における実験計画四つのうち、残り二つの実験(実験3:皮膚グラフトの非MHC抗原を認識したメモリー細胞が心臓グラフトを拒絶するか否かの確認、実験4:実験3の対実験)を遂行する予定である。実験系も確立できており、鋭意実験を進め成果を出していく予定である。次年度中の英文誌投稿を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
交付申請書記載(初年度購入予定)の「麻酔器」の購入が次年度となり残金繰越となった。当初は実験計画の3までを初年度にやる予定で予算を計上していたが、確実に実験を遂行するため初年度は計画1、2までに限定して実験を行い、概ね順調に遂行できている。実験計画1、2に限定しているため、支出が予定よりも少なくなった。
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