2018 Fiscal Year Research-status Report
Ncxノックアウトマウスを用いた腸管神経発生の分子機構と巨大結腸発症機構の解明
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18K16273
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
笈田 諭 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (90813543)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Ncx / 腸管神経 / Ecel1 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.Reporter gene assay: 当教室において既に、Ncxの標的候補遺伝子としてEndothelin converting enzyme-like 1 (Ecel1) を見出していた。本年度この遺伝子について解析を行なった。既報のEcel1 promoter領域とその近傍の配列を検索し、Ncxの結合配列を見出した。Ecel1 promoter領域のluciferase constructと、Ncxの結合配列に変異を入れた同領域のluciferase constructを作成し、SH-SY5Yにtransfectionし活性を比較したところ、変異を入れたconstructで約2倍のプロモーター活性の上昇がみられた。また、SH-SY5Y細胞でNcxをノックダウンするとEcel1の発現が上昇した。以上よりNcxはEcel1の発現を抑制していることが明らかになった。 2.腸管神経培養: 本年度は主に実験系の確立を行なった。E12.5の胎児腸管を摘出し、組織を分離して細胞を播種し神経を培養した。細胞の採取法、播種細胞数、培養日数等を検討した。また、培養した細胞をニューロンマーカーのTuj1, HuC/D、シナプスマーカーのSynapsinI、Ecel1等で蛍光免疫染色し、その染色条件を検討した。現時点で、細胞を14日間培養することで、培養した神経が形成する神経節様構造の数がWTに比べNcx-KOで多いという結果を得ている。 3.組織学的解析: 本年度は、WT及びNcx-KOマウス腸管におけるシナプス形成の評価と神経成熟の評価を行なった。シナプスマーカーであるSynapsinⅠ、未熟神経のマーカーであるDcx, PSA-NCAM、成熟神経のマーカーであるNeuN, MAP2を用いて免疫染色を行い、WTとNcx-KOで神経の成熟度の差異を比較した。その結果、2週齢のマウスではNcx-KOでAuerbach神経叢のSynapsinⅠの発現低下がみられたが、4週齢のマウスでは両者に違いはみられないという結果が得られた。その意義については現在検討中である。その他のマーカーでは両者に違いはみられなかった。また、Ecel1がAuerbach神経叢内に発現することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体として、Ncx抗体に非特異的反応が多く次の行程に進めていないものが多いことと、腸管神経培養の手技の確立と培養条件の検討に時間を想定以上の時間を要したことで、やや遅れていると判断する。以下それぞれの項目について具体的な進捗状況を示す。 1.Reporter gene assay: Ecel1のluciferase assayは完了できた。Ncxの結合を確認するChIP assayに関して、市販のNcx抗体には非特異的な反応が多く同実験を行うことが困難であった。そこで独自にNcx抗体を作成したが、同様に非特異的な反応が多く、まだ同実験を行うに至っていない。また、Ecel1以外のNcxの標的候補遺伝子の解析については未着手である。 2.腸管神経培養: 培養までの手技と培養条件の検討に時間を要したが、実験系を確立できた。現在この培養系を用い、WTとNcx-KOの差異を比較する手法(免疫組織染色、RNAや蛋白の抽出、フローサイトメトリー等)の確立を急いでいる。免疫組織染色の染色条件は、神経の細胞数や形態を評価する為に必須なTuj1, HuC/D, Ecel1等のタンパクに関しては定まっており、染色した画像を評価できる状況まで到達した。RNAや蛋白の抽出は、検体量が少なく現在まで成功していない。フローサイトメトリーを使用した評価は、予備実験を行い可能と考えているが、詳細な実験条件の決定には至っていない。 3.組織学的解析: シナプスマーカーであるSynapsinⅠ、成熟・未熟マーカーであるDCX, MAP2, NeuN, PSA-NCAMについて検討を行なった。その他、グリア細胞マーカーのGFAP、交感神経マーカーでのTH、副交感神経マーカーのChE等の染色・比較検討に関しては未着手である。また、Ecel1の組織中の局在は確認することができたが、Ncxは抗体に非特異的反応が多く、特定に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1.Reporter gene assay: Ecel1 promoter領域に対するChIP assayが良質な抗体がないことにより現在困難な状況である。自作の抗体をNcx-KOマウスのembryo powderを用いて更なる精製を行う、あるいはNcx-flagタンパクを作成し、flag抗体を使用してChIP assayを行うことを検討している。また、まだ未着手である他のNcx標的候補分子に対しても、そのプロモーター領域とNcx結合配列の検索を行い、実験を行なっていく予定である。 2.腸管神経培養: 本年度で確立された実験系を用いて、WTとNcx-KOの差異を検討していく。現時点で差が得られている、神経節様構造の数の差について、その理由を追求していく。具体的には神経細胞の増殖能の評価やアポトーシス細胞の数の差等の項目を検討する予定である。また形態学的評価だけでなく、RNAやタンパクの発現レベルといった視点からも両者の差異を検討する予定である。更にその違いがEcel1の発現の違いによる起こるのかどうかを、Ecel1をノックアウト、あるいはノックダウンした細胞を用いて検証していきたいと考えている。 3.組織学的解析: まだ未検討の神経サブセットにWTとNcx-KOで違いがあるのかを検討していく。また、現時点までに評価した項目についても、継時的な観察に関しては不十分な部分があり、更なる追求をしていきたいと考えている。また、腸管内におけるNcxの局在の評価を行う必要がある。上記の如く更なる抗体の精製を行うか、あるいはin situ hybridizationでの評価に切り替えることなどを検討している。
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Causes of Carryover |
Reporter gene assayにおいて、本年度中にNcxの結合部位を確認するChIP assayまで到達する予定であったが、実験がやや遅れており、実験を行うに至っていない。ChIP assayに必要な試薬・物品代の分使用額が余る結果となった。 そのため次年度に繰り越し、本実験の試薬・物品代として使用予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] 外科手術後の身体発育と医学的問題点2019
Author(s)
中田 光政, 斎藤 武, 照井 慶太, 小松 秀吾, 柴田 涼平, 原田 和明, 勝俣 善夫, 秦 佳孝, 笈田 諭, 西村 雄宏, 吉田 英生
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Journal Title
小児外科
Volume: 51
Pages: 19-23
Peer Reviewed
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[Presentation] 胆道閉鎖症の病態形成における制御性T細胞の意義2018
Author(s)
笈田 諭, 齋藤 武, 坂本 明美, 照井 慶太, 中田 光政, 小松 秀吾, 原田 和明, 秦 佳孝, 勝海 大輔, 古金 遼也, 藤村 理紗, 幡野 雅彦, 吉田 英生
Organizer
第45回日本胆道閉鎖症研究会
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[Presentation] 便中短鎖脂肪酸は胆道閉鎖症における免疫異常の原因となるか?2018
Author(s)
柴田 涼平, 齋藤 武, 照井 慶太, 中田 光政, 小松 秀吾, 笈田 諭, 加藤 完, 中西 裕美子, 下条 直樹, 大野 博司, 吉田 英生
Organizer
第45回日本胆道閉鎖症研究会