2018 Fiscal Year Research-status Report
横隔膜ヘルニア症における横隔膜欠損の発症機序の解明と新規予防法を目指した基礎研究
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18K16288
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高橋 俊明 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70624857)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 先天性横隔膜ヘルニア / ナイトロフェン / 横隔膜 / Pbx1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、先天性横隔膜ヘルニア関連遺伝子の1つとされるPre-B-cell leukemia transcription factor 1という蛋白をコードするPbx1やその関連遺伝子の発現、およびタンパク産生を、qRT-PCR法や、組織免疫染色法で分析し、横隔膜欠損における鍵分子を同定し、発生機序を解明し、本疾患に対する新たな予防法の開発への応用を目指すものである。 そのために、まずは先天性横隔膜ヘルニアの動物モデルの作製に着手した。Sprague-Dawley rats(Harlan Laboratories, Shardlow, UK)の受胎後、在胎9日に、1mlのオリーブ油に溶解した100mgのナイトロフェン(2,4-dichloro-phenyl-p-nitrophenyl ether)(WAKO Chemicals GmbH, Neuss, Germany)を投与した。胎児期の横隔膜の形成に重要な3つのポイント、すなわち在胎13日、15日、18日のそれぞれにおいて、ラットを帝王切開し胎仔を取り出した。それぞれの時期で取り出された胎仔の横隔膜を拡大顕微鏡で肉眼評価し、またHE染色を行い、横隔膜の組織学的形態評価を行った。ナイトロフェンを母獣に投与された群の原始横隔膜組織は、形成異常を有することが確認された。 その後、横隔膜組織の検体抽出に取りかかった。在胎18日の胎仔横隔膜検体は、蛋白分解した後にRNAを抽出し、cDNAを作成した。在胎13日、15日の胎仔検体に対しては、パラフィンブロックを作成した後、10μm切片からレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(Arcturus XT)で横隔膜成分だけ採取した。その後プロトコールに従い、RNAを抽出し、cDNAを作成した。 これにより、今回の実験に必要な検体を揃えることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットの購入、飼育、ナイトロフェン投与による先天性横隔膜ヘルニア誘導胎仔の作成が、共同実験施設で順調に進行した。また予定通りの帝王切開、検体摘出も手技的問題なく進行した。 その後の組織検体作成と、cDNA作成も、順調に進行し、当初の予定を概ね達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作成した横隔膜組織検体に、それぞれ候補蛋白Pbx1、Meis2、Runx1に対する抗体で蛍光免疫染色し、その発現と組織分布を評価する。またそれぞれの遺伝子特異的なPrimerを使用し、βactinでNormalizationし、qRT-PCR法にて遺伝子発現を評価する。 これにより、動物モデルにおける横隔膜欠損を引き起こす分子メカニズムを解明し、そのシグナル経路に対する治療的関与への可能性へと繋げていきたい。
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Causes of Carryover |
該当薬品の購入や、関係学会の参加費用などに使用していくつもりである。
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