2019 Fiscal Year Research-status Report
下肢動脈バイパスに応用可能な小口径再生型ロング人工血管の開発
Project/Area Number |
18K16293
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
古越 真耶 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 客員研究員 (20739247)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 重症下肢虚血 / 血管グラフト / 小口径人工血管 / 再生医療技術 / 生体内組織形成術 / バイオチューブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では人工血管を用いて下肢動脈バイパスへの応用を目指している。生体内組織形成術(iBTA)という再生医療技術を用いて作製した人工血管を開発し、その機能評価を動物モデルを作製して評価することを目的としている。本年度は昨年度に作製した動物実験モデルを作製し、その長期経過を継続した。 観察方法としては血管造影検査の実施によって画像診断を行い、得られた画像から移植人工血管の形状、開存を確認した。 また経過観察を終了したサンプルを摘出して組織学的分析を実施し、移植前後での組織学的変化について分析を行なっている。本研究で使用している人工血管は自己組織(または同種他家組織)から作製されるバイオマテリアルであり、バイオマテリアルは生体内で人工物とは異なり、生体組織に生着することで自己組織の一部として機能し、また組織学的リモデリングが起こることで自己組織様組織に置き換わることが期待できる。本研究で用いた人工血管は過去の研究において生体大動脈内または頸動脈に短距離で移植すると数ヶ月内に血管様構造へと組織リモデリングが起こり、血管構造の特徴である内腔表面の血管内皮による被覆、弾性線維層、血管平滑筋層の形成が確認されている。組織リモデリングが起こることで抗感染性、抗凝固性などの発揮が期待できる。下肢動脈バイパスのより困難な問題点は小口径で20cm以上の長距離人工血管が必要であること、さらにそれが生体内で閉塞することなく長期開存可能であるという条件が必須であることである。 本年度は上記の通り、移植動物モデルの観察とその結果の記録および分析、サンプルの組織学的分析を開始して研究データをまとめることに着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小口径で長い人工血管バイオチューブの作製に、初年度の早い段階で動物移植モデルに使用可能な試作品が作製でき、動物モデルの作製と移植後観察の実施が順調に実行に移せた。 実験モデルの作製と同時に、人工血管バイオチューブを作製する基となる鋳型の設計には改良を重ね、改良した鋳型から新たにバイオチューブの作製も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は全ての動物モデルの観察を終了し、移植サンプルの組織学的解析を中心に行いデータをまとめていくことが中心となる。実験動物の取り扱いについては実験動物の倫理に沿って慎重に実施する。組織学的な分析については過去のバイオチューブ研究または類似研究についても考察し、臨床応用を目指すうえで本研究で得られた成果について客観的に考察する。
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Causes of Carryover |
本年度は動物モデルの観察が中心であったため、特別に消耗品、備品を購入する必要が生じなかった。 次年度は最終年度であり、サンプル分析等に消耗品等の購入の必要性が出てくるため、必要に応じて使用していく予定である。
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