2020 Fiscal Year Research-status Report
転移性大腸癌における原発巣切除による免疫状態変化と予後に関する検討
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18K16294
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市川 伸樹 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (50779890)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 転移性大腸癌 / 姑息的切除 / リンパ球単球比 |
Outline of Annual Research Achievements |
切除不能転移性大腸癌において、末梢血中リンパ球/単球比(LMR)は生命予後と関連するとされる。血中の単球増加は、腫瘍局所での腫瘍関連マクロファージ(TAM)の増加を意味するとも報告される。TAMは、腫瘍の増生、浸潤、転移を促進し、腫瘍の血管新生を促し、T細胞による抗腫瘍作用を抑制するとされる。今回、原発巣切除によりLMRの術後増加する症例と減少する症例では腫瘍を取り巻く免疫環境の変化に差がある可能性を考えた。そこで、切除不能転移性大腸癌の原発切除後に、LMR(末梢血中リンパ球単球比)が術後増加する症例と減少する症例を比較し転移性大腸癌における原発巣切除による免疫状態変化と予後に与える影響を検討する事を目的とした。まず、切除不能転移性大腸癌において64例の原発切除症例を59例の非切除症例を比較し、原発切除症例で予後が良い事が示された。また、両群では背景因子に差を認めるものの、Cox回帰による予後因子解析でも原発非切除は独立因子となっていた。さらに、原発切除症例でLMRの変化に注目して評価を追加すると、増加症例は減少症例に比較して有意に予後が良い事が見いだされ(生存期間中央値27.3対20.8ヶ月)、原発切除症例の中で特にLMR増加例の予後が良い事が示唆された。LMR増加例と減少例で、切除検体を比較すると、増加例では有意にCD8+リンパ球/CD163+単球比が低い事が見いだされ、別コホートでの追試でも同様の組織検体での特徴が見られた。この結果をSurgery Today誌へ投稿しpublishとなった。現在、原発巣切除後のLMR増加例と減少例、それぞれの術前の免疫学的特徴を更に究明する為、IL-6、Alginase1など全身の液性因子の特徴を評価中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
理由 本研究は下記の①-③を具体的な研究課題としている。すなわち、①切除不能転移性大腸癌の原発切除後にLMRの術後増加する症例と減少する症例で免疫状態の差異を評価し予後との相関を検討する。②大腸癌肝転移における原発肝転移同時切除症例の切除検体を用いて、原発巣と転移巣の免疫状態の差異を評価する。更に、③マウスを用いて高転移大腸癌細胞株の盲腸移植により大腸癌肝転移モデルを作成し、盲腸病変摘出有無での生存期間差異と、原発転移巣それぞれの免疫状態を評価する。同モデルでマクロファージをdeletionし、マクロファージが与える影響を検討する。OVAを遺伝子導入した癌細胞株と、OTマ ウスを用い、同モデルで盲腸病変、肝病変に浸潤するT細胞のプロファイル、増殖能、細胞障害能を比較する。 この中で、最も要となる研究課題①について、成果を論文化出来た事は評価に値する。現在、LMR増加例減少例と術前液性因子の関係についても研究を進めている。②についても平行して検討を行っている。以上については、進捗状況では遅れいているが目標期間内に成果が得られる見込みである。一方で、③の動物実験については、モデルの確立に難渋しており研究計画の遂行が困難な可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、①これまでに切除不能転移性大腸癌において原発巣切除により予後が改善する症例群が存在する事を示し、その症例群では原発巣でのCD8リンパ球/CD163陽性単球比が低い可能性を見い出した。また、同症例群では、術前後でLMR比が増加する事を示した。今後、これに関連する液性因子の評価を引き続き行う。②また、大腸癌肝転移同時切除症例における原発巣、転移巣組織の免疫学的特徴の評価を引き続き行う。 ③マウスモデルを用いた検討では、モデルの確立に難渋している。引き続き計画を進めるが、目標とする研究期間が限られている為、前述①②の人検体を用いた研究を優先して行う。
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Causes of Carryover |
研究の進行状況遅延に伴い、研究費の使用も遅延してる。目標としている研究の進行していく過程で、順次、研究費を使用する予定である。
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