2021 Fiscal Year Research-status Report
骨盤内リンパ管トレースシステムを用いた下部直腸肛門管リンパ管マップの開発
Project/Area Number |
18K16295
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐藤 健太郎 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (90791715)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 下部直腸肛門管 / リンパ管 / リンパ流 / インドシアニングリーン |
Outline of Annual Research Achievements |
下部直腸癌は一般に局所再発率が高く、予後も不良である。その背景には、多様なリンパ管ネットワークの存在が推定されるが、内括約筋、外括約筋ならびに内外括約筋間の微小リンパ管構造について、未だ定まった見解はない。そのため本研究では、献体標本ならびに手術摘出標本を用いて、下部直腸周囲微小リンパ管の立体構造ならびに下部直腸から周辺臓器に至るリンパ流の解明を行い、以下の点が明らかとなった。 1)免疫染色を用いた顕微鏡的微細解剖観察を行い、下部直腸縦走筋から分岐し肛門挙筋表面を覆うように広がる筋膜構造(Hiatal ligament, Endopelvic fascia)の内部に毛細リンパ管、毛細血管が確認された。 2)死後早期(24時間以内)の解剖検体の肛門管粘膜下層に固定処理前に脈管トレーサー(墨汁)を注入した後切片作成し免疫染色を併用し観察したところ、1)で観察されたHiatal ligament, Endopelvic fascia内のリンパ管周囲の間質内に墨汁取り込みを認めた。同部の間質液はリンパ管内へ吸収されるといわれており、墨汁の局在から下部直腸肛門管の粘膜下から Hiatal ligament, Endopelvic fasciaへの組織液の交通およびリンパ管への流入が示唆された。 3) 下部直腸癌手術中にインドシアニングリーン(ICG)蛍光法を骨盤底観察時に行い、直腸壁からHiatal ligament, Endopelvic fasciaに連続するリンパ流を確認した。 上記研究結果を論文化し公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記結果を論文化し下記英文学術誌に投稿し受理された。また、研究結果から得た知見を踏まえ、下記レビュー論文も投稿し受理されため、順調に進展していると判断した。 Sato K et al. Widespread anorectal lymphovascular networks and tissue drainage: analyses from submucosal India ink injection and indocyanine green fluorescence imaging. Colorectal Dis. 2021/ 23(6): 1334-1345. Sato K et al. Fascial Organisation and Lymphatic Systems Around the Pelvic Floor: A Literature Review. Anticancer Res. 2021. 41(10): 4705-4714.
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Strategy for Future Research Activity |
下部直腸癌では鼠経リンパ節転移率が上がるといわれているが、その転移経路は明らかになっておらず、今後の研究ではこの転移経路を関心領域としていく。死後早期解剖体へのICG蛍光法の応用を検討中である。
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Causes of Carryover |
次年度も研究継続予定が発生したため。また新規研究手法(死後早期解剖体に対するICG蛍光法)の利用も検討しているため。
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