2021 Fiscal Year Research-status Report
MDM2を中心とした食道扁平上皮癌の化学放射線抵抗性因子と新規分子標的薬の研究
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18K16296
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡本 宏史 東北大学, 大学病院, 助教 (80732487)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / 化学放射線抵抗性 / Murine double minute 2 / Ki-67 / p16 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、食道扁平上皮癌に対する化学放射線療法(CRT)効果予測因子の解明と集学的治療戦略の確立を目的として、CRT抵抗性関連因子であるMurine Double Minute 2 (MDM2),p53,p16,Ki-67などの各種マーカーのCRT抵抗性や予後への関わりを調べ、CRT抵抗性に関して基礎データを得ることによって、食道癌の治療戦略の策定と、前方視的臨床研究への足掛かりをつくることを目的としている。 今年度は、東北大学病院食道外科グループで病理部協力のもと、悪性腫瘍でアップレギュレートされていることで知られるnuclear factor-erythroid 2-related factor 2 (Nrf2)と heme oxygenase-1 (HO-1)とKi-67について、術前放射線化学療法後に食道切除をした食道扁平上皮癌の切除検体69例について、腫瘍本体とリンパ節転移の免疫染色を行い、いずれもリンパ節転移で原発腫瘍より発現低下していることが判明した。また、HO-1高発現は術前化学放射線療法への抵抗性と関連し、予後と相関していた。リンパ節転移でのHO-1高発現が術前化学放射線療法を受けた食道癌切除患者の予後予測に有用であることが示され、Cancer Report誌(2022;5:e1477)に発表した。 また、頸部食道癌への5-FU, cisplatin, docetaxel併用化学放射線療法の結果の続報をAsian Pacific Journal of Cancer Prevention誌(2022;23(2).495-499)に発表した。 現在、取り扱う全ての症例に関して最新の予後調査を行っている(カルテおよび郵送アンケート調査)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
根治的化学放射線療法(dCRT)症例(5FU・CDDPの2剤の症例に加えDocetaxelも加えた3剤の症例も含む)、術前CRT手術症例、術前化学療法手術症例、dCRT後救済手術症例に加えて術前未治療症例に関してデータベース・カルテを用いたデータ抽出とデータ解析、予後調査を行いまた、免疫染色に関しては、術前CRT手術症例、術前化学療法手術症例、根治的CRT後救済手術症例に関しての、CRT・化学療法の感受性や予後、臨床病理学的因子などのデータと免疫染色結果との解析、比較対象症例として術前未治療の手術切除検体の免疫組織結果との解析、術前CRT手術症例の治療前生検組織標本の評価と解析を終えており、今回術前CRT手術症例の切除検体(腫瘍本体とリンパ節転移)のマーカーの免疫染色を行っており、概ね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き抽出したデータを整理し、CRTや化学療法について関連を見ていく。 根治的化学放射線療法後の救済手術症例の治療前生検組織と切除標本でのマーカーの免疫染色と評価を行い、各々の関連や臨床病理学的因子(術前治療前後の上部消化管透視検査・内視鏡検査、CT・PET-CT検査を用いた臨床的治療効果度を含む)との関連を分析している。 術前CRT手術症例、術前化学療法手術症例、根治的CRT後救済手術症例の免疫組織結果に関してもさらに臨床情報との対比、解析を行っていき、予後等のデータも更新していく。 頸部食道癌のCRT症例に関して治療前生検組織を用いて各種マーカーの免疫組織化学染色を行い、データの解析をしていく。 免疫染色マーカーに関しては各症例に対して、必要あればさらに種類を増やして染色を行っていく。新規の症例は随時追加することを検討していく。
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Causes of Carryover |
免疫組織学的染色や、データの解析に関して病院設備や薬品の使用により予定よりも低額で行うことができている。翌年度へ持ち越した上で引き続きデータの解析や免疫染色等の実験の実費に投じる予定である。また、新型コロナパンデミックの影響で、国内、国際学会が延期・中止、もしくはWEB開催となり、旅費などが著明に減額となった。翌年度で引き続き使用していく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] HO-1 in lymph node metastasis predicted overall survival in patients with esophageal squamous cell carcinoma receiving neoadjuvant chemoradiation therapy2022
Author(s)
4.Ryujiro Akaishi, Fumiyoshi Fujishima, Hirotaka Ishida, Junichi Tsunokake, Takuro Yamauchi, Yusuke Gokon,Shunsuke Ueki, Toshiaki Fukutomi, Hiroshi Okamoto, Kai Takaya, Chiaki Sato, Yusuke Taniyama1, Tomohiro Nakamura, Naoki Nakaya, Takashi Kamei, Hironobu Sasano
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Journal Title
Cancer Reports
Volume: 5
Pages: e1477
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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