2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K16297
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山村 明寛 東北大学, 大学病院, 助教 (30814678)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オルガノイド / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度は、がん臨床検体からのオルガノイド培養法の確立を中心に、研究を行なった。オルガノイドは大腸癌の方が比較的形成率が高いため、手技を確立するまで大腸癌も用いて実験を進めた。まずは培養に必要な機材を購入した上で、培養液に添加するgrowth factorである、Wnt3aとR-spondin1のconditioned mediumを作成した。これら2因子の活性がオルガノイドの樹立にとって重要であるが、recombinantのホルモン活性と比較してオルガノイドの培養に対して大きな差のないことを確認した。これらを用いて、マウスの胃、大腸、肝臓、膵臓からオルガノイドを作成して、培養システムとして問題のないことを確認した。ついで、臨床検体を用いた実験に移った。臨床検体11例よりオルガノイドを作成し、7例でオルガノイド培養に成功した。方法2に従った抗がん剤スクリーニングに関しては、現在薬剤投与を行なって、まずはオルガノイドに対する薬剤濃度の決定より行なっているところである。方法3に従った、マウス異種移植については、作成したオルガノイドのうち3例を用いて、マウスの皮下および盲腸壁に注入し、ゼノグラフトモデルの作成を行なった。オルガノイドの移植後8週間後の解析を予定しているが、8週間経過しておらず生着の有無については解析のタイミングを待っているところである。方法4に従って、作成できたオルガノイドの一部は液体窒素の中に保存しており、そのうち数例を用いて、再度培養可能となることを確認している。今後バイオバンクとして症例を蓄積し、各種実験に活用していけるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度にオルガノイドのゼノグラフトモデルの作成まで進めたいと考えていたが、現在まだゼノグラフトが生着したかどうかの確認を行なっているところで、確立したというところまで進んでいない。この遅延の原因の一つは、マウス実験の動物実験申請および、がん臨床検体を使用するための倫理員会申請の承認が遅れたことが一つは関与していると考えられる。現在はすべての実験承認が下りているため、実験を行うに当たっての制限はない。また、オルガノイド培養手技の樹立については大きな問題なく進んでいるが、ゼノグラフトの樹立に関してはまだ結果が出ていない。おそらくゼノグラフトの生着は100%でなないと予想されるため、薬剤スクリーニングを行うためには相当数のがん臨床検体が必要と考えられる。そのためにも早急にオルガノイドのゼノグラフトモデルの樹立を進めたいと考えている。また、In vitroでのオルガノイド薬剤スクリーニングに関しても、現在進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究を始めた頃より、オルガノイドを用いたdug screeningの論文が発表される様になってきており、癌の臨床検体を用いたオルガノイドを作成すること自体は珍しいものではなくなってきた。またdrug screeningの研究は多施設共同研究として行われる様になってきており、すでに大規模なプロジェクトとして行われてきている。そこで、われわれも一般的な感受性試験を行うだけではoriginalityという点で新規性に乏しい。そこで、薬剤を絞ってオルガノイド実験を行うことを考えている。具体的には最近胃癌大腸ガンの領域で期待されている免疫テェックポイント阻害薬や、VEGF阻害薬などであり、これらの使い分けに当たっていまだに確立されていない、バイオマーカー検索に利用することを予定している。まずはオルガノイド培養および、ゼノグラフトモデルの手法を確立した上で、新たな薬剤選択のインフォーメーションを提供していけることを期待している。
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