2018 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌における癌幹細胞の転移メカニズム解明と新規治療標的の同定に関する研究
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18K16305
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 隆之 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (00813867)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝幹/前駆細胞のマーカーであるkeratin 19 (K19)に着目した肝細胞癌癌幹細胞に関するこれまでの研究において、K19は肝細胞癌における新規癌幹細胞マーカーでありその発現は独立予後不良因子となること、K19陽性癌幹細胞はTGFb/Smad pathwayの制御を介した上皮間葉転換に関与していることを示してきた。 一方、肝細胞癌は各種肝炎を基礎とした肝線維化を母地として発生し増殖・転移していくことが広く知られているが、こうした各種背景肝における癌幹細胞の挙動や転移メカニズムはほとんど解明されていない。そこで本研究では、肝細胞癌においてK19陽性癌幹細胞が引き起こす癌の転移メカニズムを明らかにすることを目的の一つとしている。 本年度は、臓器の細胞成分を薬剤によって除去し細胞外基質のみを得る脱細胞化技術を用いて獲得したラット正常肝/線維化肝由来脱細胞化肝臓を用いて肝細胞癌の3次元立体培養を行った。その結果、正常肝由来脱細胞化肝臓と比較し線維化肝由来脱細胞化肝臓ではK19陽性細胞が保持されやすく、腫瘍の浸潤・転移が高頻度に起こることが判明した。また、線維化肝由来脱細胞化肝臓で培養された肝細胞癌ではsnail, slug, vimentin, マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)9などの上皮間葉転換に関わる遺伝子が高発現していることも確認された。さらに、ヒト肝細胞癌臨床検体においてもK19発現と肝線維化に相関が認められた。線維化肝の細胞外基質がK19陽性癌幹細胞の維持に関与している可能性が示唆されており、現在は流体解析によりK19陽性細胞の挙動や転移メカニズムを検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り概ね順調に研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
・正常肝/線維化肝ラット由来脱細胞化肝臓内におけるK19陽性・陰性細胞の挙動を流体解析により検証し、背景肝の細胞外基質により生じる挙動の変化を明らかにする。 ・K19陽性・陰性細胞をそれぞれ正常肝/線維化肝ラット由来脱細胞化肝臓内で培養した際のSmad2/3のリン酸化を比較検証し、背景肝からのシグナルとTGFb/Smad pathwayとの関連を調べる。続いてK19のsiRNAや強制発現ベクターを用いたgain/loss of function によりTGFb/Smad pathwayの活性化に変化が生じるかを比較検証する。 ・ヒト肝細胞癌臨床検体を用いて、K19陽性肝細胞癌における遺伝子発現とTGFb/Smad pathwayとの関連を検証する。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Identification of keratin 19-positive cancer stem cells associating human hepatocellular carcinoma using 18FFDGPET and CYFRA 21-12018
Author(s)
Takayuki Kawai, Takamichi Ishii, Kentaro Yasuchika, Satoru Seo, Satoshi Ogiso, Takahito Minami, Yuya Miyauchi, Ryoya Yamaoka, Hidenobu Kojima, Ken Fukumitsu, and Shinji Uemoto
Organizer
The International Liver Congress (EASL) 2018, Paris, France
Int'l Joint Research
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[Presentation] 肝細胞癌におけるkeratin 19陽性癌幹細胞を追跡するバイオマーカーとしての18F-FDGPETおよび血清keratin 19 fragment (CYFRA 21-1)の役割2018
Author(s)
河合隆之, 石井隆道, 安近健太郎, 小木曾聡, 南貴人, 宮内雄也, 小島秀信, 山岡竜也, 福光剣, 波多野悦朗, 上本伸二
Organizer
第118回日本外科学会定期学術集会、東京
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[Presentation] Development of precision medicine for keratin 19-positive hepatocellular carcinoma2018
Author(s)
Takayuki Kawai, Takamichi Ishii, Kentaro Yasuchika, Satoru Seo, Satoshi Ogiso, Yuya Miyauchi, Ryoya Yamaoka, Hidenobu Kojima, Ken Fukumitsu, Hideaki Okajima, Toshimi Kaido, and Shinji Uemoto
Organizer
The Asian Pacific Association for the Study of the Liver (APASL) Single Topic Conference on HCC 2018, Yokohama, Japan
Int'l Joint Research
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[Presentation] Tracking keratin 19-positive cancer stem cells using CYFRA 21-1 in hepatocellular carcinoma2018
Author(s)
Takayuki Kawai, Takamichi Ishii, Kentaro Yasuchika, Satoshi Ogiso, Takahito Minami, Yuya Miyauchi, Hidenobu Kojima, Ken Fukumitsu, Shinji Uemoto
Organizer
The 13th World Congress of the International Hepato-Pancreato-Biliary Association (IHPBA) 2018, Geneva, Switzerland
Int'l Joint Research
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