2018 Fiscal Year Research-status Report
オルガノイドを用いた食道癌由来エクソソーム膜蛋白の網羅的解析とバイオマーカー探索
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18K16307
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 豪男 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00781775)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オルガノイド / 食道扁平上皮癌 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
当施設では2016年よりオルガノイド培養を導入し、食道扁平上皮癌の初代培養に取り組んできた。開始当初のオルガノイド培養の成功率は50%程度で、細胞を24well plateで1 wellに対して20000 cellsを播種して、10-40個程度のオルガノイドを培養することが可能であった。 そこでまず我々は患者より採取した生検組織から食道扁平上皮癌のオルガノイドを作成し、そのオルガノイドの上澄みを回収して、超遠心法によるエクソソームの抽出を試みた。しかし初代培養で形成するオルガノイドが少ないため、十分なエクソソームの回収が困難であった。 そこで我々はまずオルガノイドの培養効率の改善に取り組むこととした。まず使用していたオルガノイドメディアの内、p38 MAPK Inhibitorを除去することでオルガノイド形成率の向上を認めた。さらにオルガノイドメディアの組成をより効率的な物にすべく、これまでに含まれていた成長因子が有効性を検証し、必要ない因子は除去し代わりにいくつかの因子を加えることでさらにオルガノイドの形成率を向上することに成功した。これらのオルガノイドメディウムの改良と実験手技の安定により、我々はオルガノイド培養の継代にも成功した。これまでに最長4継代が可能であったが、現時点では継代と共に徐々にオルガノイドの形成率が低下してくるため、さらなるオルガノイドメディウムの改良が必要であると考えている。 また同時に我々は同一患者より術前治療前、術前治療後、術後の3回の採血を行い、血球成分を除去した血しょうの保存を進めている。これらの採血検体はオルガノイドの培養からエクソソーム内の腫瘍マーカーが同定できた後、それを検証するために使用予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エクソソームを十分に回収するためにはオルガノイドの培養効率を改善する必要があり、その改善に時間を要した。また頻回のマトリゲル融解のトラブルにより、安定したオルガノイド培養が一時期困難であったが、インキュベーターを変更することでそのトラブルは全く無くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
最近の10例では培養成功率は70%以上に改善し、形成率の増加および培養の継代にも成功している。さらに培養法を改良することで安定したエクソソームを回収することが可能になると考えられる。 患者の採血検体は十分に回収が進んでいるため、腫瘍由来のエクソソームが同定出来次第そのValidationに使用する予定である。
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