2018 Fiscal Year Research-status Report
効果的な大腸癌治療を志向した新規抗血管新生医薬品のシーズ化合物の探索
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18K16317
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
谷川 和史 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (20527519)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | SNX9 / 腫瘍血管新生 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
KCTD18とSNX9の結合阻害剤探索のための大規模スクリーニングの系を構築し、パイロットスクリーニングを実施した結果、大規模スクリーニングに耐えうるhigh-through put性を担保している事が分かった。また、申請書が同定した新規血管新生因子SNX9を発現抑制したヒト血管内皮細胞HUVECを用いて、KCTD18結合能欠失型SNX9を過剰発現させた所、血管新生が回復しない事を明らかにした。この結果は、SNX9とKCTD18との結合が血管新生において機能的である事を示している。更にSNX9の臨床的重要性を評価するために、ヒト大腸癌組織におけるSNX9の発言を組織染色法により解析した。その結果、ステージや腫瘍部位に関わらず、59例のヒト大腸癌組織の全てにおいて、腫瘍血管内皮細胞と腫瘍上皮細胞でSNX9が正常組織に比べ、高発現している事実を見出した。更に、トランスクリプトーム解析による予後解析を実施した結果、SNX9の発現が高い方が大腸癌の予後が悪い事実を明らかにすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
結合阻害剤スクリーニングのためのドメイン解析やパイロットスクリーニングは順調に進んでいるものの、大規模スクリーニングがまだ完了できていないため。一方で、ヒト大腸癌組織を用いた発現解析から、SNX9が血管内皮細胞だけでなく、大腸癌の腫瘍上皮細胞においても高発現していて、大腸癌細胞においても極めて重要な機能を有している可能性を示す知見を得る事ができた。本研究から得られるSNX9の制御剤は血管新生阻害剤としてだけでなく、大腸癌細胞の増殖や転移を制御できる新しい抗癌剤になる可能性を秘めている。
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Strategy for Future Research Activity |
SNX9とKCTD18との結合を阻害する化合物スクリーニングを早急に進める。併せて、KCTD18以外の血管新生に機能的なSNX9の結合タンパク質Xを質量分析を用いて同定する。SNX9/KCTD18及び、SNX9/結合タンパク質Xの2軸を化合物スクリーニングに供する事で、より特異性の高いSNX9/KCTD18結合阻害剤の同定が可能になる。その後、細胞、マウスレベルでの血管新生阻害活性を評価する。また、SNX9は生体膜リン脂質に結合するドメインを有するため、血管新生時における生体膜リン脂質代謝と連動して局在を変化させ、機能している可能性が高い。そこで、血管新生時における血管内皮細胞内の生体膜リン脂質を可視化して、時間依存的な局在変化を調べ、SNX9との共局在性を明らかにする。2018年度において、SNX9が腫瘍血管内皮細胞だけでなく、大腸癌腫瘍上皮細胞でも高発現している事実を見出したので、SNX9の大腸癌細胞における機能を細胞増殖、転移能の観点から解析する。
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Research Products
(1 results)