2019 Fiscal Year Research-status Report
膵臓癌・機能性RNA発現解析に基づく、局所浸潤・遠隔転移に関わる分子経路の探索
Project/Area Number |
18K16322
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伊地知 徹也 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (70791531)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 膵癌 / 機能性RANネットワーク / Oncogene / tumor-suppressor |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年は膵癌における機能性RNAネットワークを解析するため、当教室におけるマイクロRNA発現プロファイルを用い、miR-204、miR-130bの膵癌抑制効果を機能解析した。いずれのマイクロRNAも癌抑制型マイクロRNAとしての機能を示し、特に膵癌の転移・浸潤に関わることを証明した。更に、新たに膵癌遺伝子としてRACGAP1、EPS8を見出した。miR-204投与によって、RACGAP1の発現は抑制され、同様にmiR-130b投与によってEPS8の発現は抑制された。ルシフェラーゼアッセイを行うことでmiR-204、miR-130bはRACGAP1、EPS8を遺伝子配列依存的に制御することを証明した。また、RACGAP1、EPS8は膵癌患者によって、独立した予後規定因子となっており、高発現患者では予後不良だった。次いで、これら遺伝子が影響を与える膵癌遺伝子の分子ネットワークを解析するに至った。 特にmiR-204は膵癌・乳癌における機能解析から多くの癌腫で抑制効果を示すことが予想され、悪性腫瘍全般に対して重要な癌抑制機能を持っていることが示唆された。 2020年は現在使用しているマイクロRNA発現プロファイルからmiR-30cの解析を始めており、miR-30cの膵癌細胞株の発現解析、及び細胞株の機能解析を開始している。さらにマイクロアレイ解析を行うことで標的遺伝子とその分子経路を検索中である。 現在、新たなマイクロRNA発現プロファイル作成に入っており、今までの癌部 vs 非癌部の遺伝子比較だけではなく、術前化学療法の有無、術前放射線療法の有無、更に術前化学療法効果判定を考慮した個別での遺伝子発現プロファイルを作成している。化学療法においては癌の耐性化の原因検索や、個別化が必要となっており、新たな分子標的治療発見の可能性を期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的としている内容で新たな知見を認め、論文発表に至ることができた。本研究を継続することで更に膵癌の分子機構が解明することができると考えられる。次年度は新たな術前治療の有無によるプロファイル作成を予定しており、基礎研究の段階から臨床研究への移行を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在のマイクロRNAの基礎研究を進めつつ、臨床病理学的因子を含めた解析を予定している。予後解析のみならず、化学療法や放射線療法とマイクロRNAの関連や、肥満・栄養状態などを含めた広い範囲での解析を行い、膵癌の分子病態に関わる機能性RNAネットワークを見出すことで、新規治療・評価法の検討を行っていく。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] The effect of microRNA-124 on the phosphorylation pathway of integrin.2019
Author(s)
Tetsuya Idichi, Hiroshi Kurahara, Kousei Maemura, Yuko Mataki, Haruhi Fukuhisa, Yota Kawasaki, Satoru Iino, Masahiko Sakoda, Tanoue kiyonori, Shinichi Ueno, Hiroyuki Shinchi, Shouji Natsugoe
Organizer
第31回日本肝胆膵外科学会学術集会
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