2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of exfoliated tumor cells and local recurrence after colorectal endoscopic submucosal dissection
Project/Area Number |
18K16326
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
井上 隆 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60623478)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 内視鏡的粘膜下層剥離術 / 局所再発 / implantation / 遊離細胞 / viability / povidone iodine / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD, Endoscopic Submucosal Dissection)は、早期癌に対して粘膜下層に局注液を注入、剥離し病変を切除する内視鏡治療であるが、我々はESD後の局所再発症例を経験した。ESDは病変を一括切除できるため、分割切除による遺残局所再発ではなく、implantationによる局所再発が示唆された。我々はESD直後の腸管内洗浄液に遊離腫瘍細胞が高率に存在し、腸管内洗浄による遊離腫瘍細胞の除去効果を報告してきた。大腸ESD後の遊離腫瘍細胞の生着能を明らかにすることを目的に本研究を計画した。 昨年度、大腸ESD後の洗浄液中の遊離腫瘍細胞のviabilityを測定し、12時間ではviabilityは低下せず、2%の消毒液(povidone iodine)を付加するとviabilityが有意に低下したことを証明できた。 今年度、4症例に対し、ESDで切除した腫瘍と大腸ESD後の洗浄液中の遊離腫瘍細胞のDNAを抽出し、次世代シークセンサーにて遺伝子変異(APC/P53/KRAS/FBXW7/ERBB2/MLH1/PTEN/ATM/ALK/FGFR3/PDGFRA/KIT/KDR/SCF1R/SMO/RET/HRAS/FLT3/SMAD4)を比較した。4例中2例は変異一致率が100%、残り2例は変異一致率が94.3%と非常に高かった。 従来の内視鏡治療よりも比較的長時間の腫瘍に対する物理的刺激を伴うESD操作により腫瘍から細胞が遊離し、かつその遊離細胞にはviabiltyがあるため、本研究は大腸ESD後のimplantationを裏付ける結果となった。大腸ESD後に消毒液を付加した液で洗浄することで、大腸ESD後の局所再発の予防につながると考えられた。
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