2022 Fiscal Year Annual Research Report
The role of PDIA3 in hepatocellular carcinoma
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18K16333
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
高田 英志 日本医科大学, 医学部, 助教 (70591262)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PDIA3 / HCC / mTOR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はHCCにおけるprotein disulfide-isomerase A3(PDIA3)の役割を解明し、肝細胞癌(HCC)の診断・治療への臨床応用を目指すことである。これまでの研究で、ヒト肝細胞癌培養細胞株(Huh-7、Li-7)におけるPDI阻害剤(16F16)投与による効果についての検討をおこなってきた。16F16投与下の環境で細胞増殖の抑制がみられた。今回、16F16の濃度を0,0.1,0.5,1,5,10,100μg/mlに設定し細胞増殖の評価をおこなった。その結果、1μg/mlの投与下では有意に細胞増殖の抑制がみられたが、5μg/ml以上の濃度では細胞増殖がみられなかった。72時間後の50%阻害濃度はHuh-7では1.1μg/mlで、Li-7では1.5μg/mlであった。HCCの細胞増殖においてmTOR経路が重要な役割をすることが知られており、PDIA3はmTORと複合体を形成し、シグナル経路の調節に関与するといわれている。PDIA3抑制および16F16投与下でのmTOR経路の下流に位置するS6 kinase(S6K)およびphosphorylation of S6Kの発現について評価した。その結果、PDIA3抑制をしたLi-7でphosphorylation of S6Kの発現低下が確認されたが、Huh-7では抑制はみられなかった。16F16投与下ではS6Kおよびphosphorylation of S6Kの発現低下はみられなかった。本研究により、PDIA3のHCCにおける細胞増殖およびアポトーシスへの関与が示された。また、16F16投与により、細胞増殖の抑制効果がみられ、HCCへの新規治療薬としての可能性が示唆された。本研究ではS6KおよびpS6Kの発現を調べたが、細胞株によって異なる結果であり、更なる検討が必要であると考えられた。
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