2021 Fiscal Year Research-status Report
Studies on activative factors of inflammatory bowel diseases
Project/Area Number |
18K16336
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 雅 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (70772333)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 潰瘍性大腸炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease; 以下、IBD)の炎症持続状態において産生される血管新生因子に焦点をあて、特に内因性の血管新生阻 害物質であるThrombospondin-1 (以下、TSP-1)に注目した。TSP-1は内因性の血管新生阻害物質で、活性化された血小板・単球・マクロファージや種々の上皮細 胞から分泌され、CD36分子を介して内皮細胞の接着、遊走、増殖を阻害し、また内皮のapoptosisを引き起こす。また、VEGF、CD31、TGF-β1、TGFβR2などと いった各種サイトカインもIBD患者大腸組織中の炎症反応に強く相関していると考えている。本年度では、2007年1月1日から2018年7月31日までの 間に、北海道大学病院消化器外科Ⅰ(旧:消化器外科・一般外科)に入院した患者で,同期間内に潰瘍性大腸炎に対する手術を受け、保管検体を有する症例か ら、先ず10症例を選択した。各症例の大腸組織における高度炎症部位と正常部位からそれぞれサンプルを採取し、免疫染色、mRNA定量を行った。しかしながら、免疫染色、mRNA定量共にTSP-1の発現の程度が低く、検体保存方法の再検討が必要となった。追加検体として、ホルマリン保存したサンプルのHE染色、免疫染色を追加で行っている。CD33の発現については、炎症の程度に応じた変化が認められる傾向が認められているが、TSP-1, TGF-Bなどの面積染色では、現時点で有意な差が認められていない。更なる条件検討も行い、潰瘍性大腸炎の重症度と血管新生因子やサイトカインの発現度の相関について最終的な結論を得たいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
大腸組織の炎症、非炎症部位の免疫染色を行ったが、最も検討を行いたいTSP-1の発現が弱く、条件検討に時間を要している。また、大腸組織中の、TSP-1 mRNAについては、炎症の重症度とTSP-1の発現度に相関が得られる可能性が示唆されつつあったが、症例を重ねると有意な差が認められない可能性もあり、慎重な検討を要している。
|
Strategy for Future Research Activity |
TSP-1の発現については、炎症性腸疾患症例、対照群症例(大腸癌)との間で有意差が認められない可能性もある。更に検討を重ねて、慎重に結論を出したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
免疫染色の条件検討、検体のチェック等の遅れから、予算の執行が遅れている。今後、追加の染色やPCRなどを行う予定であり、次年度の予算を計上した。
|