2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of intraoperative diagnosis and navigation method of cancer, nerve, and urinary tract using a new fluorescence imaging
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18K16344
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河口 義邦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00597726)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腫瘍の蛍光 / 尿の蛍光 / 自家蛍光 / 試作機による観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)メチレンブルーを蛍光源として用いた蛍光イメージングの開発:膵臓腫瘍、神経、尿管の蛍光イメージング メチレンブルーを蛍光源とした開腹手術用の赤外観察カメラの試作器を用いて、ヒトを対象に膵頭神経叢20例、膵腫瘍3例、肝腫瘍2例の観察を行った。メチレンブルーを静脈注射後にそれぞれの観察を行った。神経に関しては自家蛍光との鑑別が困難であったが、膵腫瘍、肝腫瘍を蛍光として描出可能であった。またメチレンブルーを尿と混ぜ赤外観察カメラで観察することで蛍光として描出されることを確認した。適切な手術症例(尿管に近接する手術)がなかったため、ヒトでの尿管の観察は施行できなかった。腹腔鏡用の赤外観察カメラの試作については浜松ホトニクス、アイ・エム・アイ株式会社、新興光器製作所とすすめているところであるが、2018年度に完成させることはできなかった。2019年度には完成の見込みであり、ラボでの実験、ラットでの実験へと進める予定である。また2018年度は静注法のみによる観察を行っていたが、直接散布法による観察へとすすめたい。 (2) フルオレセインを蛍光源として用いたミクロ蛍光イメージングによる術中診断法の確立 ヒトを対象に大腸癌肝転移20例、胆道癌15例、胆嚢腫瘍10例、膵腫瘍10例の検体を直接散布法にて観察を行った。また胆道癌5例に対しては静脈注射による術中観察も行った。大腸癌肝転移に関しては、フルオレセインを静注しない状態でも、癌部と非癌部の識別が可能であったが、散布することで癌の腺構造をより明瞭に観察することが可能となり、術中診断への応用の可能性が示唆された。胆道癌については外科医1名、内科医1名による共焦点レーザー内視鏡画像による診断と病理読影結果との比較を行っており、現在解析中である。2019-2020年度に学会・論文報告を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)メチレンブルーを蛍光源として用いた蛍光イメージングの開発:膵臓腫瘍、神経、尿管の蛍光イメージング 開腹手術用の赤外観察カメラの試作器を用いて、メチレンブルーを静脈注射後にヒトの膵頭神経叢20例、膵腫瘍3例、肝腫瘍2例の観察を行った。神経に関しては自家蛍光との鑑別が困難であり、静注法ではなく直接散布法での評価を行っていく予定である。膵腫瘍、肝腫瘍については血流の豊富な腫瘍を蛍光として描出可能であった。適切な手術症例(尿管に近接する手術)がなかったため、ヒトでの尿管を観察することはできなかったが、メチレンブルーを尿と混ぜ赤外観察カメラで観察することで蛍光として描出されることを確認した。腹腔鏡用の赤外観察カメラの試作については浜松ホトニクス、アイ・エム・アイ株式会社、新興光器製作所とすすめているところであるが、2018年度に完成させることはできなかった。2019年度には完成の見込みであり、ラボでの実験、ラットでの実験へと進める予定である。 (2) フルオレセインを蛍光源として用いたミクロ蛍光イメージングによる術中診断法の確立 大腸癌肝転移20例、胆道癌15例、胆嚢腫瘍10例、膵腫瘍10例の手術後の切除検体をフルオレセイン直接散布法にて観察を行った。また胆道癌5例に対しては静脈注射による術中観察も行った。大腸癌肝転移に関しては、フルオレセインを静注しない状態でも、癌部と非癌部の識別が可能であったが、散布することで癌の腺構造をより明瞭に観察することが可能となり、術中診断への応用の可能性が示唆された。胆道癌については外科医1名、内科医1名による共焦点レーザー内視鏡画像による診断と病理読影結果との比較を行っており、現在解析中である。大腸癌肝転移、胆嚢腫瘍、胆道癌に関しては論文作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)メチレンブルーを蛍光源として用いた蛍光イメージングの開発:膵臓腫瘍、神経、尿管の蛍光イメージング ヒトを対象とした臨床研究では静注法のみによる観察を行い、血流の豊富な腫瘍や尿そのものを蛍光として描出可能であることは確認できた。今後は直接散布法による検討も行う予定である。また研究者のグループの専門領域では神経「叢」ではなく神経そのものや尿管に近接する手術症例が少ないため、ラットによってそれらの検討も本年度に行う予定とした。その後他領域の手術症例での検討へとすすめていきたい。腹腔鏡手術用の赤外観察カメラの試作については2019年度には完成の見込みであり、ラボでの適切な投与量を評価する実験、ラットでの実験へと進める予定である。特にラット実験は上記開腹用試作機と同時に進行させていく予定である。 (2) フルオレセインを蛍光源として用いたミクロ蛍光イメージングによる術中診断法の確立 2018年度の症例蓄積は順調であり、本年度は解析、論文作成、学会報告が中心となる。今後の解析結果でミクロ蛍光イメージングの術中診断の精度が明らかになる予定である。
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Causes of Carryover |
メチレンブルーを蛍光源として用いた蛍光イメージングの開発プロジェクトにおいて腹腔鏡手術用の赤外観察カメラの試作を浜松ホトニクス、アイ・エム・アイ株式会社、新興光器製作所協力のもとすすめていたが2018年度中に完成させることができなかった。そのための予算として想定していた額を2018年度に使用することができなかったため、次年度使用額が発生した。当該額は2019年度に完成予定の腹腔鏡手術用の試作機作成のための原資として必要である。また新たにラット実験も予定しており、次年度使用額、本年度の所要額ともに研究遂行のために必要となる。
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