2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of multi-faceted therapeutic strategies for diffuse-type gastric cancer based on a preclinical mouse model
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18K16346
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
島田 周 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20609705)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胃がん / 分子標的治療 / 免疫治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん治療は革新の時代を迎え、従来の化学療法だけでなく分子標的治療薬や免疫治療薬も含めた複合治療が模索されている。一方、スキルス胃がんは予後が悪いにもかかわらず、有効な治療方法がいまだ確立されていない。我々はヒトスキルス胃がんで高頻度に異常が認められるE-cadherin(Cdh1遺伝子)とp53(Trp53遺伝子)が胃で特異的にノックアウトされるDCKOマウスを作製し、病理学的にも分子生物学的にもヒトスキルス胃がんに類似した胃がんを発症することを明らかにした(Shimada et al. Gut 2012)。また、その胃がん由来細胞株(GC)も樹立し、C57BL/6系統p53ノックアウトマウス由来胃上皮細胞株(GE)との比較を行い、スクリーニング解析によりGC細胞株に対して特異的に作用する薬剤を同定した(Shimada et al. Br J Cancer 2018)。これらのリソースを利用して、スキルス胃がんに対する複合治療を開発していく。 マイクロアレイ・バイオインフォマティクス解析と免疫染色により、マウススキルス胃がんではMAPK経路・SMAD経路・STAT3経路が活性化していることがわかった。GE細胞株とGC細胞株に対して、各シグナル経路阻害薬を投与したところ、MAPK経路阻害薬がGC細胞株特異的に作用することを明らかにした。 RNA-seq解析により、GE細胞株でCdh1遺伝子をノックアウトした細胞(Cdh1-KO)でもMAPK経路の活性化が認められた。Cdh1-KO細胞には正常免疫マウス皮下でも腫瘍を形成する免疫抵抗性株と腫瘍形成しない免疫感受性株があることがわかった。そして、免疫感受性株において各シグナル経路に関連する遺伝子のノックアウトを追加したところ、PI3K経路・SMAD経路異常が免疫抵抗性獲得に寄与していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの成果として、マイクロアレイ・バイオインフォマティクス解析と免疫染色および細胞実験により、スキルス胃がんで活性化しているシグナル経路としてMAPK経路が同定されていた。今年度は、GE細胞株とGE細胞株由来Cdh1-KO細胞株との遺伝子発現比較を行い、Cdh1-KO細胞株でも同様にMAPK経路が活性化していることがわかり、昨年度の成果をサポートするデータが得られた。MAPK経路を阻害する薬剤としてMEK阻害剤が臨床応用されているが、本剤がスキルス胃がん特異的に増殖抑制作用を示すこともin vitroとin vivoで確認された。 また、近年注目されている腫瘍免疫についても解析を行った。DCKOマウスはFVB/N系統とC57BL/6系統の両方を背景としているため、免疫実験を行うことが難しい。そこで、GE細胞株がC57BL/6系統のみを背景としていることを利用して、GE細胞株由来Cdh1-KO細胞株を作製し、同系統皮下移植モデルを確立した。Cdh1-KO細胞株には同系統皮下移植可能な免疫抵抗性株と不可能な免疫感受性株が存在することがわかった。免疫感受性株に各シグナル経路に関連する遺伝子のノックアウトを追加したところ、PI3K経路(Pten-KO)・SMAD経路(Smad4-KO)異常が免疫抵抗性獲得に寄与していることがわかった。 以上より、スキルス胃がんにおいて造腫瘍性・免疫抵抗性に関与するシグナル経路異常を同定しており、その標的治療薬の探索も進んでおり、進捗は概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
Cdh1-KO細胞株のうち、免疫抵抗性株と免疫感受性株の遺伝子発現をRNA-seqで比較し、どのような遺伝子の発現変化が免疫抵抗性獲得に寄与しているのか解析する。免疫感受性株にCRISPR/Cas9ライブラリーを導入し、同系統移植を行う。そして、形成された腫瘍のアンプリコンシーケンス解析を行い、どのような遺伝子のノックアウトが免疫抵抗性獲得に寄与しているのか明らかにする。これらの結果をもとに、スキルス胃がんに有効な免疫治療薬を探索する。MEK阻害剤単独および免疫治療薬との併用も含めて、in vivoでの薬効評価を行い、スキルス胃がんの複合治療の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
a免疫抵抗性株と免疫感受性株のRNA-seq解析は施行済であり、遺伝子発現解析や免疫実験を次年度に進めていく。CRISPR/Cas9ライブラリーのアンプリコンシーケンス解析を次年度に行うために、予算が必要である。免疫治療薬の薬効評価をin vitroおよびin vivoで解析するために、試薬購入費・動物購入費がかかる。
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