2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the role of cancer cell-derived exosomes in peritoneal dissemination
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18K16351
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
生田 大二 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (00581935)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腹膜播種 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞由来のエクソソームは、癌の血行性転移に関与していることが最近報告されている。一方で、血行性転移とは異なる転移形態である腹膜播種に関しても、 卵巣癌においてエクソソームの関連を示唆する報告はあるが、消化器癌においてその関与は不明である。本研究ではマウス大腸癌細胞株であるCT26細胞を用 いて腹膜播種モデルを作成し、CT26細胞から回収したエクソソームを腹腔内に投与することにより、腹膜播種に大腸癌由来エクソソー ムが及ぼす影響について 検討を行った。CT26細胞株をエクソソームフリーの培養液で培養し、エクソソームを超遠心法にて分離し、CT26由来のエクソソームを回収した。CT26大腸癌細胞株から収集したエクソソームをBalb/cマウスに対し腹腔内投与を行った。その結果、CT26癌細胞を同じ遺伝子背景をもつ Balb/cマウスの腹腔内 に投与することで腹膜播種の形成が増加した。次に、エクソソームが血行性転移に及ぼす影響について検討された既報の論文などを参考にエクソソームの投与を3週間に延長すると、エクソソームの投与により腹膜播種の形成が阻害された。さらに、Balb/c由来ヌードマウスではCT26癌由来エクソ ソームの腹腔内投与により、CT26細胞腹膜播種の形成が減少した。これらの結果から、CT26癌細胞由来エクソソームは腹腔内投与を行うことにより、腹膜播種 の形成に影響を及ぼし、播種の抑制に働くと考えられた。次の検討として、癌細胞を投与せず、エクソソームのみを腹腔内投与をおこない、腹膜を含めた腹壁を回収することで、組織学的検討をおこなった。aSMAで線維化を検討し、CD31で血管新生を評価した。また、ポドプラニンで腹膜の変化を評価した。腹膜の線維化、血管新生の増加などはエクソソーム投与群で認めなかった。また、腹膜の肥厚も認めなかった。これによりエクソソームの投与により腹腔内の線維化などは増加しないことが示唆された。
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