2018 Fiscal Year Research-status Report
インターネットを用いた胃癌術後補助化学療法中の症状報告システムの開発
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18K16353
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
錦織 達人 京都大学, 医学部附属病院, 助教 (50815933)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 術後補助化学療法 / ePRO / 患者報告アウトカム / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
遠隔転移を有さない進行胃癌に対する本邦での標準治療は、根治的切除と術後1年間の補助化学療法である。しかし、摂食量が低下し、体重が減少した術後の胃癌患者に対する術後補助化学療法は、更なる食欲不振、疲労などの有害事象を引き起こし、治療を完遂できない患者が多い。一方で、術後補助化学療法を完遂することで、生存率が改善する可能性が示唆されている。本研究の目的は、S-1を中心とした胃癌術後補助化学療法を施行する進行胃癌患者を対象に、インターネットを用いて患者自身が症状を評価することで、治療完遂割合に与える影響を検証することである。第一段階として、研究計画書に則り、インターネットによる報告システムの構築と症状に対する対処方法について整備を行っている。まず安全に患者個人情報を扱うため、京都大学医学部附属病院医療情報管理部と研究チームを結成した。次に文献検索を実施し、胃癌術後補助療法の完遂に影響を与え、改善させることで完遂率を上昇できる可能性のある症状を選択した。現在、webアンケートシステムを構築中であり、2019年度に倫理委員会の承認を得た後に、補助化学療法を実施している患者を対象に、臨床研究の実施を予定している。また、これまで医療者は化学療法により生じた症状を、患者が感じる程度より軽症に評価していることが報告されている。本システムを用いて、化学療法中の患者の症状を適切に評価できるかを検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、S-1を中心とした胃癌術後補助化学療法を施行する進行胃癌患者を対象に、インターネットを用いて患者自身が症状を評価することが、治療完遂割合に与える影響を検証することである。第一段階として、研究計画書に則り、インターネットによる報告システムの構築と症状に対する対処方法について整備を行っている。まず、医療情報管理部とともに、安全に患者個人情報をIT環境に乗せる研究チームを結成した。次に、外科サイドで文献検索を実施し、補助療法の完遂に影響を与える可能性がある食欲不振、悪心、嘔吐、疲労、下痢、便秘、口内炎、手足症候群、不眠、不安など15症状を観察項目とすることを決定した。患者がPRO-CTCAE(妥当性が証明された化学療法の有害事象を患者自身が評価する尺度)を入力するため、Lime Surveyというオープンソースwebアンケートシステムを利用し、サーバーを入退室管理されている医療情報管理部内に設置することになった。既にPRO-CTCAEのwebアンケート入力様式は完成し、現在、その結果出力形式について打ち合わせを行っている。また、報告された症状への対処方法として、当初はweb上に表示させることで検討を行ってきたが、無診察診療に該当する可能性があり、対処方法については別紙説明書を作成することとした。現在、文献検索を行い、汎用性ある対処マニュアルを作成中である。2019年度前半に報告システムを完成させ、実患者を対象としたユーザビリティ調査を実施する予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究プロトコールを作成し、倫理委員会の承認を得た後に、術後補助化学療法中の胃癌患者20人を対象に本システムを使用し、ログイン/回答/提出の可否、回答時間を評価する予定としている。特にインターネット経験が少ないユーザーを中心にユーザビリティについてインタビュー調査を実施する予定である。ユーザビリティ調査が終了次第、報告システムの有用性を検証する多施設共同ランダム化比較試験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
現在、患者報告情報を安全に収納できるサーバーとその保守について業者と医療情報管理部を交えて交渉しており、そのための費用を持ち越した。次年度請求助成金と合わせて使用する予定である。
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