2019 Fiscal Year Annual Research Report
Novel drug discovery and application of intractable cancer targeting RNA m6A modification
Project/Area Number |
18K16356
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小関 準 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (20616669)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エピゲノム制御因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAの修飾は80%がメチル化アデノシン(m6A)であり、m6Aは疾患で重要な役割を担っている。私たちを含む内外の研究成果により、m6Aはメチル化酵素群(Mettl3-Mettl14-Wtap複合体)の働きでメチル基が付加され、そのm6AにYthdf1などの認識タンパク質群が結合して、生物学的な機能を発揮することが明らかとなった。Ythdf1は、KRASなどのオンコプロテインの翻訳を正に制御する。本計画では、Ythdf1やm6Aによるオンコプロテインの翻訳を阻害するヒット化合物を創出することを目標とした。 2018年度において、ヒットの作用点に焦点をあてて難治性消化器がん(胆道がん、膵がん)の手術切除試料(胆道がん、膵がん年間各50症例)を用いたRNAメチル化情報に基づくサブクラス分類を進め、さらにはリキッドバイオプシー(末梢血)のマイクロRNAのメチル化情報を連結させたコンパニオン創薬の基盤を構築した。その際に、標的の立体的構造及び生体内環境下における熱的振動を考慮することで、薬物候補化合物と標的との物理的相互作用をより詳細に解析することで、偽陽性の確立を下げることに成功した。 更に2019年度においては、候補化合物が下流へ及ぼす効果予測をするために、18種類のがん細胞において、オンコプロテインの翻訳系に与える効果をNotch, Myc, Bcl2, Krasなどの抗体を用いたRun-Onアッセイで検討と、正常細胞への影響を考慮するため初代培養やオルガノイドおよび3D培養などの正常に近い細胞条件を用いて、ヒット化合物が正常細胞に与える影響をRun-Onアッセイで検討に取り組んだ。化合物の臨床試験の段階に持っていくには、まだまだ問題点が存在するものの、m6A修飾による翻訳機序を標的とした創薬への足場は確実に構築した。
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