2018 Fiscal Year Research-status Report
Calreticulin陽性膵癌幹細胞の癌幹細胞性および病態生理の解析
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18K16365
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松隈 聰 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教(4日/週) (10634743)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / 膵癌 / Calreticulin |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は我々が癌細胞株(以下Parent cell)から独自な方法で誘導した膵癌幹細胞様細胞豊富な細胞集団(Lm細胞)に含まれるCalreticulin(CRT)を表出した細胞の幹細胞性の解析を目的としていた。 誘導した細胞集団をfluorescence activating cell sorter(FACS)を用いて、CRT陽性細胞とCRT陰性細胞に分離し、以下の様々な解析を行った。まずSphere forming assayでは、Parent cellと比較し、Lm細胞で高いSphere形成能が確認できた。CRT陽性細胞はさらに高いSphere形成能を有し、一方CRT陰性細胞にSphere形成能はなかった。以上よりLm細胞集団のSphere形成能は、これに含まれるCRT陽性細胞が担っている、と結論した。さらに薬剤排出能に関与するABC transporter活性の解析においてもParent cellと比較し、Lm細胞の高いABC transporter活性が確認でき、CRT陽性細胞はさらに高い活性を有していた。マウスを用いた皮下腫瘍原性試験では、Parent cellと比較し、Lm細胞の高い腫瘍原性が確認できた。現在CRT陽性細胞とCRT陰性細胞の比較のため、腫瘍細胞の皮下投与を終了し、観察を行っている。 RT-PCRにおいては、Parent cellと比較し、CRT陽性細胞とCRT陰性細胞の両方で、Stemness geneであるALDH1A1およびNANOGが高発現し、EMT関連転写因子であるSNAILおよびSLUGの高発現が確認できた。さらにCRT陰性細胞と比較し、CRT陽性細胞ではNANOG, SLUGが高発現していた。RNA seqによる網羅的な解析により、CRT陽性細胞とCRT陰性細胞の性質の違いをさらに明らかにすべく現在解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、平成30年度はCRT陽性細胞の癌幹細胞性の解析を目的とし、腫瘍原性の確認、Stemness gene, RMT related geneの発現、RNAseqを主に行う予定としていた。「研究実績の概要」に示したように、そのいくつかで癌幹細胞性を示す結果が得られ、一部は解析の準備が整う段階になっている。以上より、計画はおおむね順調に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度はCRT陽性細胞の免疫逃避機構を含めた免疫学的機能の解析と同細胞に高発現した分子および活性化した代謝経路の同定を中心に研究を進める予定としている。
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Causes of Carryover |
使用する物品の効率的な使用により費用削減が可能となった。 平成31年度は網羅的解析に多額の予算を要することが予想されるため、次年度使用額を効率的に使用する予定である。
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