2019 Fiscal Year Annual Research Report
To verify the role of phosphoglycerate mutase expression in pancreatic cancer through glucose metabolism and cellular senescence
Project/Area Number |
18K16369
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
甲斐田 剛圭 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (80792580)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膵癌 / 代謝リモデリング / 解糖系 / セリン生合成 / PGAM / PHGDH |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞は自らに有利になるようにその代謝をリモデリングしており、その代表的なものががんでの解糖系の亢進を指すWarburg効果である。今回我々は、細胞老化を抑制することが知られている解糖系酵素であるPGAMに注目し、このPGAMの発現が膵癌の発癌や癌の進展にどのような影響を与えるか研究を行った。PGAMの老化を抑制する働きからも、癌の進展ではなく、発癌に関連するのではと考えた。遺伝子改変モデルを使用したマウス実験では、膵臓に発現していないアイソフォームであるPGAM2を過剰発現させたが表現系に明らかな差異を認めなかった。現在、膵臓に発現しているPGAM1のTransgenicマウスを用いて実験を進めている。 またPGAMが関与する解糖系から分岐するセリン生合成系にも着目して実験を進めてきた。セリンは非必須アミノ酸の一種で、細胞外からトランスポーターを介した取り込み以外にも細胞内で合成可能である。膵癌患者では血中セリン濃度が高値であることが報告されており、膵癌はセリン生合成を特異的に亢進させ、その進展に寄与しているものと考えられた。セリン飢餓状態で複数の膵癌細胞株を培養したところ、ほとんどの膵癌細胞株では通常mediumと比較しても増殖速度が変わらないことが確認され、 セリン飢餓状態において細胞内セリン濃度を維持出来るよう生合成を亢進していると考えた。解糖系の中間体である3-PGからセリンを合成する最初の段階であるPHGDHに着目し、セリン飢餓状態での発現の変化を検証したところ、セリン飢餓状態でも増殖速度の変わらなかった細胞株ではPHGDHの発現が誘導されていた。現在、このPHGDH発現が誘導される新たなメカニズムに関して研究を継続しているところである。またセリン飢餓食が抗腫瘍効果をもたらす可能性についてもマウスを用いたin vivoの実験で研究を継続している段階である。
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