2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the original cell and mechanism of aortic valve ectopic calcification and developing new drugs for inhibiting calcification
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18K16381
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
于 在強 弘前大学, 医学研究科, 助教 (40624268)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大動脈弁石灰化 / 大動脈弁狭窄症 / 薬物治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦において、高齢社会の進行により大動脈弁狭窄症(aortic valve stenosis, AVS)は発病率が増加し、加齢変性と石灰化(AVC)により徐々に進行する。狭心痛や心不全などの自覚症状が出るまで20-30年の無症状期があると報告されている。しかし、石灰化の進行を抑制する薬物がないという現状にある。 本研究室は、AVS患者の石灰化した大動脈弁より大動脈弁間質細胞(HAVICs)を単離した。これらのHAVICs細胞は腫瘍壊死因子(TNF-α)や高リン酸の刺激に対して感受性が高く、石灰化が亢進することを証明した。さらに、石灰化関連遺伝子 骨形成タンパク(BMP2)の発現亢進/アルカリホスファターゼ(ALP)の活性上昇を明らかにした。HAVICsの中に、高リン酸条件下で石灰化しやすいCD34-/CD45-/CD73,90,105+の未分化細胞が存在すると証明した。 同時に、TNF-αおよび高リン酸誘発性石灰化をモデルにし、石灰化の進行を抑制する天然物や漢方薬の探索を行っていた。その中には、抗炎症作用のある漢方薬である黄連解毒湯はTNF-αおよび高リン酸誘発性石灰化の進行を有意に抑制した。また、 TNF-αおよび高リン酸によるBMP2の発現亢進とALPの活性上昇も有意に抑制した。 黄連解毒湯は四つの生薬(オウレン、オウゴン、オウパク、サンシシ)で構成されているため、各種の生薬は同様な石灰化抑制する効果があるかについて検討した結果、3種類(オウレン、オウゴン、オウパク)の生薬はTNF-αおよび高リン酸誘発性石灰化に対して抑制効果を認めた。上記は大動脈弁石灰化を抑制する薬物治療の候補になりうると考えている。また、黄連解毒湯をラットに長期投与しても、有意な肝機能障害や腎機能障害を認めず、石灰化に対して薬物予防治療方法を確立するのに有力な資料を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床的にAVR外科手術を受けるAVS症例より、石灰化した大動脈弁の供給を受けている。しかし、人と人の間に個体差が大きく、石灰化の程度や遺伝子レベルのデータが安定していない面があり、データを収集することは時間を要した。また、ワーファリンおよびビタミンとSHRラットを以って、大動脈弁石灰化の動物モデルを作製する際に、ワーファリンの投与量がやや多く、脳出血などの出血性合併症が発生し、一部の動物が死亡したため、動物の飼育を改めて行うことで、時間を要したが、必要なデータを収集できていると考え、研究に関しては順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上行大動脈周囲に色素を注射すると、大動脈弁および周囲心筋に移行することを認めたので、これからは大動脈弁の石灰化を抑制する天然物や漢方薬のスクリーニングに重点を置く必要がある。 黄連解毒湯の成分であるBerberineはTNF-αや高リン酸誘発性石灰化を抑制したため、石灰化抑制機序を解明するとともに、臨床的に使用可能かどうかについて詳細に検討する必要がある。また、薬物溶出性シートを作製してみる。手術の時に上行大動脈周囲に敷いて大動脈弁石灰化および血管石灰化に対しての治療効果の有無について検討する。
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Research Products
(3 results)